2021年末時点における中国のファブレスIC企業の数が前年比27%増となる2810社となったとのCSIA(中国半導体工業会)の調べをもとに、台湾のハイテクメディアの調査部門であるDigitimes Asiaが報じている。

2010年時点では582社、2015年でも736社であったが、同年、中国政府が「中国製造2025」を発表して半導体産業の強化を唱え、補助金支給に拍車がかかったため、2016年には一気に1362社に急増。その後、2019年には1780社に達し、2020年には2000社の大台を突破。現在も増加が続いている。

中国には現在、北京や上海、深センといった伝統的なICの設計拠点に加えて、無錫、杭州、西安、成都、南京、武漢、蘇州、合肥、夏門といった都市にもそれぞれ100を超えるファブレスIC企業が存在するという。

企業の規模に関しては、413のファブレスIC企業が2021年の売上高1億元(約18億円)を突破したとしており、これは前年比42.9%増の値となるという。また、これら413社の売上高合計(2021年)は3288億元(約5.9兆円)となり、中国のファブレスIC業界全体売上高の71.7%を占めるとする。

また、2021年は合計7社の中国のファブレスIC企業が上海証券取引所(STAR Market)に上場を果たし、合計で121億元の調達に成功。2021年12月時点で、これらの企業の時価総額は2230億元(約4兆円)に達するという。

中国のファブレスIC企業の中でもトップクラスの事業規模を誇るHiSilicon(Huaweiの半導体設計子会社)やUNISOC(清華紫光集団傘下)は、すでに世界レベルの企業へと成長を遂げている。一方、3000社近い弱小ファブレスIC企業の中には、補助金だけもらって休眠状態の企業も多数あるようだが、激しい競争で切磋琢磨していく中で、いずれはいくつかの企業がM&Aなどで事業規模を大きくさせていくであろう。

なお、中国のファブレスIC企業の多くが現在、家庭用電化製品(家電)、電気通信、コンピュータ、シミュレーション、電源、およびスマートカードなどといった分野をカバーしているが、家電と通信は、中国のファブレスIC業界における2大収益セグメントとなっており、2021年には家電分野が2066億元、通信分野が1030億元の売上規模となったという。

また、将来的には、半導体業界の成長は、電気自動車(EV)、5G、IoT、およびAIといった分野がけん引することとなるが、こうした分野に対しても中国のIC産業ならびに電子機械産業は高い需要を見せており、中国のファブレスIC産業の急速な成長を後押しする形となっている。