NTTアーバンソリューションズ、NTT都市開発は5月26日、未来の働き方を模索するための実験的オフィス「未来のオフィス 4×SCENE(フォーシーン)」を秋葉原UDX6階に開設したことを発表した。同日、報道関係者向けに内覧会が開催されたので、新オフィスの様子を紹介する。
フリーアドレス制の新オフィスには4つのエリアがある。プレゼンテーションができるオフィスのエントランス「INTRODUCTION」、音楽や照明の演出がありカジュアルな交流を促す空間「CASUAL」、組織・チームで集まって働く「TEAM」、図書館のように集中して働ける、会話・会議NGの静かな空間「FOCUS」の4つだ。
それぞれのエリアに適したデスクが用意されており、すべてスマートフォンの専用アプリから利用予約することが可能。またビーコンを活用しており、現在メンバーがどこで仕事をしているのか、だれがどの席を予約しているのかが分かる。「明日誰が出社するのかが分かるので、より円滑なコミュニケーションが図れる」と、NTTアーバンソリューションズ デジタルイノベーション推進部の渡邉裕美氏は説明した。
また新オフィスでは、リアルとリモートのシームレス化を目指した実証実験を行っている。感染症対策としてWeb会議を実践しているが、オフィスでの会話がWeb会議の向こう側にいる人にまで聞こえてしまうといった課題を抱えている企業も少なくないだろう。
そこで、両社は独自のパーソナライズドサウンドゾーンという技術を活用して、オフィスにいるほかの人の声はWeb会議の相手には聞こえず、Web会議をしている人の声は椅子の外側には漏れ出さないといった環境を構築した。実際に使ってみると、椅子に座るまではまったく聞こえなかったWeb会議相手の声が、指向性を持つスピーカーにより鮮明に聞こえた。
耳をふさがないため、オフラインで参加するメンバーともやり取りしながらWeb会議に参加でき、シームレスなコミュニケーションがとれる。
さらに、オンライン説明会などで需要が高いウェビナールームをオフィス内に設置。ウェビナーのライブ配信のためにスタジオを毎回レンタルするのは時間と経費がかかるだけでなく、急な対応ができないといった課題に対応した。
一風変わった施策もいくつかある。内覧会でオフィスを歩いていると、社員をさりげなくサポートするロボットが動き回っていた。NTTドコモが開発・提供するこの自動走行ロボットは、飲み物を運ぶだけでなく、来客時に急きょ出社できなくなった場合に、遠隔による案内や打ち合わせができるという。
「CASUAL」エリアには、歩きながらWeb会議に参加している社員がいた。コロナ禍で運動不足になったという社員からの声を受け「歩きながら仕事ができるデスク」を設置した。
またリフレッシュおよび集中力の向上を促す「瞑想室」もあった。アプリに沿って15分もしくは30分コースの瞑想ができ、「案外難しいが、スッキリして集中力が高まる」(利用者)とのことだ。
渡邉氏は「これからのオフィスは『意識的に向かう場所』になる。ハイブリッドワークで働く人が行きたくなる未来のオフィスを創っていきたい」と意気込んでいた。