帝国データバンクは5月26日、今年4月に実施した「人手不足に対する企業の動向調査」の結果を発表した。有効回答企業数は 1万 1,267 社。
同社の調査によると、コロナ禍前まで企業の経営課題として筆頭に挙げられていた人手不足は、新型コロナウイルスの感染拡大によって経済活動が制約されたことで、人手不足感が一時落ち着く格好となっていたという。しかし、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され徐々に「アフターコロナ」へと向かう中、人手不足も上昇し、再び経営課題として浮上してきたとのことだ。
同調査によると、正社員の人手不足割合は45.9%で、前年同月から8.7ポイントの大幅増加となっている。特に「情報サービス業」は64.6%が「人手不足」と回答しており、IT人材の不足感が目立っている。
この人手不足感は、新型コロナの感染拡大前に近い水準まで上昇しているという。2022年4月時点における従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員について「不足」していると回答した企業は45.9%で、前年同月から8.7ポイント上昇するなど、コロナ禍前に最も人手不足の割合が高かった2019年の50.3%に近い水準となったという。
業種別では、「情報サービス」が64.6%で最も高いという結果が出ており、経済産業省が2030年までに約40~80万人のIT人材が不足すると試算するなど危惧されていたなかで、依然としてIT人材の引き合いは強い結果となったという。
帝国データバンクは、政府も人手不足の解消に欠かせないデジタル化やDXを推進していることを挙げ、将来を見据ながら人手不足の解消に向けて積極的に取り組むことは、事業継続を左右する大きなファクターとなるだろうとの見解を示している。