5月25日から27日までパシフィコ横浜で開催されている「人とくるまのテクノロジー展」で、OKIエンジニアリング(OEG)は、SNIA(Storage Networking Industry Association)による規格に準拠した形の不揮発性メモリ「eMMC」に対する性能評価サービスや、機械不良の原因になる低分子シロキサンに対する耐久試験サービスなどの展示を行っている。
昨今注目を集めるeMMCデバイスは、NAND型フラッシュメモリとコントローラ回路を1つのパッケージに集約したメモリICモジュールで、SDカードに類似した性能を持つが、SDカードに比べ小型かつ省電力化が可能であるため、すでに広く利用されるスマートフォン需要に加え、自動運転やADAS(先進運転支援システム)向け車載機器の領域でも需要が高まっている。
さらに2022年7月以降、新型車においては車両事故情報を記録するイベントデータレコーダ(EDR)の装備が義務化されるため、そこに搭載されるeMMCについても需要が増すとみられる。
一方で、eMMCデバイスにはデータ書き換え回数の上限や高温環境でのデータ揮発リスクなどの課題があり、データシート上のみでは要求性能を満たすのかの判断が困難なため、専門的な見地から行う製品ごとの評価分析へのニーズが増している。
またeMMCの普及が進んだことで、データ書き換え回数などの耐久性だけでなく、データ読み込み・書き出しの速度やレイテンシなどの処理性能について、計測・比較を行いたいという要望も届いているという。
これを受けOEGでは、2012年にサービスを開始したeMMC評価サービスについて、過去に蓄積したノウハウと近年広がるニーズをもとに、今般、性能規格「SNIA SSS PTS」に準拠した形の不揮発性メモリ検査サービスの開発に踏み切ったとのことだ。
同サービスの開発にあたってOEGは、生涯書き換え評価や性能評価のためのプログラムなどを自社で開発し、試験環境を新たに構築したという。そのため、顧客のニーズに合わせた試験基準のカスタマイズも可能で、eMMCに限らずSDメモリカードや次世代フラッシュメモリ「CFast」の評価への展開も可能だとしている。
OEGのブース担当者によれば、「検査環境を市販品ではなく自分たちで作り上げているので、それをお客様に合わせてアレンジできるのはかなりの強みだと思う。規格に合わせた検査はもちろん、製品の比較検討などにも利用できる」とのことだった。
同サービスは2022年6月7日付で正式リリースされ、翌8日からのサービス開始を予定しており、年間1億円の売り上げを目標にしているという。