ドリーム・アーツは従業員1000名以上の大企業を対象に「DX/デジタル化」に関する調査を定期的に実施しており、5月24日、4回目となる調査結果を発表した。今回は、あらためてDXの取り組み状況に焦点を当て、調査したという。
今回の調査は2022年4月14日~4月19日にインターネットを通して実施され、1000名から有効回答を得た。これまでの3回の調査では管理職やIT決裁者に焦点を当ててきたが、今回はDX(デジタルトランス・フォーメーション)の現状を俯瞰的に探るため、1000名うち400名を非管理職にしたほか、100名を役員にし、より幅広い層へのアンケート調査になっている。
自社がDXを推進しているかの調査については、過去3回ではいずれも「DXに取り組み中」と回答した人の割合が半数を超えていたが、今回は23%に留まり、「わからない」と回答した人が44%いた。
職位が上がれば上がるほど、「わからない」と答える割合は下がり、非管理職の「わからない」率は半数を上回り、社会人経験1~3年目になると63.3%に上るという。
今回の調査で「DXに取り組んでいる」と明確に答えたのは合計232人で、この人たちに対して、DXの進捗と未来について“肌感覚”を聞いたところ、6割を超える人が、 DXへの取り組みが成功しそうだと感じているという。一方、DXという“呪文”を唱えても実態が伴わず将来の見通しが立っていない企業も依然として多く、デジタル化止まり、もしくはデジタル化すら積極的でない企業もあるという。
ドリーム・アーツ 取締役執行役員 CTO 石田健亮氏は、「DX組とそうではない企業で二極化している。デジタル化に対するひややかな視線をポツポツと感じる。失敗を恐れて1歩を踏み出せてない企業もある」と語った。
「今後DXに関わりたいか」という質問では、「絶対に関わりたくない」、「できれば関わりたくない」、「言われたら仕方がない」というネガティブな回答が6割で、「ぜひ 関わりたい」、「少し興味はある」というポジティブな回答は40%と半数に満たなかったという。ネガティブ回答の理由としては、「面倒くさい」(235名)、「大変そう」(210名)、「自分にできるか不安」(176名)を挙げた人が多くみられたという。
ただ、会社がDXに取り組んでいることをきちんと理解すれば、DXに対して前向きになり、不安や恐れ、面倒といったネガティブな心理が取り除かれるという。さらに、経営層がDXを理解して正しい方針を示し、納得感を持って会社のDXを自分のDXが同じであると答えられれば、よりポジティブな意識を持つという。
DXを実現するために重要だと思うものについては、1位が「経営トップのリード」で、「DXの課題」も同様に、経営トップだと指摘する意見が突出した。つまり、「経営トップのリードにより優れたDXを実現できるのだが、自社の経営トップではだめだ」と感じている従業員が少なからず存在することになるという。
「経営層がDXを理解しているかどうか」 について尋ねてみたところ、「いいえ」が7割近く、フリーアンサーでも「流行りの言葉だから使っているだけ」、「掛け声はあるが具体的なビジョンがない」、「“上辺だけの経営者”」、「デジタル化やペーパーレス化をDXと言っている」といった辛辣な意見が並ぶという。
同社では、会社の大きな方向性を現場まで行き渡らせるため、社内広報など何らかの施策を、DXプロジェクトの一部に組み込むと良いかもしれない。DXの推進にあたって、社内の情報共有のやり方について改めて考えてみることをおすすめしたいとしている。