日立製作所は5月24日、電力事業者を始めとする企業向けに、送電網などの重要設備の点検、監視、最適化のためのデジタルソリューションである「Lumada Inspection Insights」を発売した。

  • 画像データとAIとの融合のイメージ

新ソリューションは日立エナジーと日立ヴァンタラが共同で開発したものであり、衛星画像や、リモート・センシング技術の1つであるLiDAR(レーザー画像検出と測距)、温度分布などの写真や動画を人工知能(AI)で解析する。ユーザー企業の設備点検の自動化と安全性の向上、天候に関連するリスクや山火事による環境影響の低減、サステナビリティ目標の達成につなげる。

同ソリューションは、日立ヴァンタラの「Hitachi Image Based Inspections」および「Hitachi Intelligent Infrastructure Monitoring」と、日立エナジーの「Hitachi Vegetation Manager」および「Hitachi Map」の4つのコア・ソリューションで構成し、単体または包括的なソリューションとして提供できる。

コア・ソリューションのうちImage Based Inspectionsは、画像データをAIおよび機械学習機能(マシン・ラーニング、ML)で解析することで、高い塔に登ったりヘリコプターから写真を撮ったりという危険でコストや時間のかかるアプローチを代替するもの。

Intelligent Infrastructure Monitoringは、スマートカメラ、3D LiDARセンサー、エッジ・ゲートウェイを通じて収集した映像データを、CRM(顧客関係管理)やERP(企業資産計画)などのデータ・ソースと統合できるとのこと。

Vegetation Managerは、写真、ビデオ、米Maxarの衛星画像など多様な画像と、AIや高度な分析技術を活用して、ユーザー企業の植生作業活動や計画作業の精度と有効性を向上させるとしている。

Mapは、EAM(企業設備管理)、APM(設備性能管理)、FSM(現場作業管理)、ADMS(配電管理システム)、GIS(地理情報システム)などの多数のアプリケーションからの情報を1つの地理空間ビューに結合し、ユーザーが重要な情報にアクセスし、情報に基づいた意思決定を行い、即座にアクションを実行することを可能にするという。

これらにより、AIと機械学習を使用して設備の状態やリスクを分析することで、障害や設備停止の多様な原因を特定するとのこと。また、予測分析により運用や環境に関するリスクを評価することで、障害発生前の修繕の効率化が可能になるとしている。