NECは5月24日、光ファイバセンシング技術やAI技術を活用し、車両の走行時における振動から位置・速度・進行方向といった交通流を可視化する高精度監視システムを、2022年3月に中日本高速道路(NEXCO中日本)に対して提供したと発表した。
同システムは、光ファイバの片端に取り付けるセンシング装置とNECが独自開発した分析AI(人工知能)エンジンなどで構成される。高速道路沿いに敷設されている通信用途の光ファイバインフラを活用して、振動、位置、速度、進行方向などのデータの集積を“流れ”として捉えることで、交通流を連続的に推定することが可能だ。
具体的には、まず光ファイバセンシング装置で走行車両に起因する振動情報からデータを生成する。生成したデータを分析AIエンジンにより、時間方向かつ距離方向に連続的な走行の軌跡に変換し、1キロメートルごと、1分ごとの平均速度と所要時間を推定する。なお、同分析AIエンジンは、環境ノイズが重畳したデータでも走行車両の振動の軌跡を抽出することが可能だ。
同システムにより、広域にわたり過去から現在にまでの交通状況の変化をデジタル上に再現することが可能となる。NECはシステムの提供を通じて、監視漏れのない連続的監視や事故・渋滞の早期検知などの道路管制の高度化の支援を目指す。