Samsung Electronicsの子会社で韓国最大の半導体洗浄装置メーカーであるSEMESの元技術者2名とその協力部品メーカー社員2名の計4名を不正競争防止法違反で水原地方検察庁防衛事業・産業技術犯罪刑事部が拘束、起訴したと多数の韓国メディアが一斉に報じている。SEMESは、元K-DNS(韓国の大日本スクリーンという意味)とよばれ、SamsungとDNS(現SCREENホールディングス)の合弁洗浄装置メーカーだったが、現在はSamsungの子会社になっている。

水原地検の調べでは、SEMESを2018年に退社した技術者らが、SEMESが2010年代半ばに実用化し、Samsungにのみ納入してきたSamsungグループの門外不出の極秘技術である「超臨界流体洗浄装置」と同じものを製造して中国企業に譲渡していたという。また、協力会社2社は、SEMES向けと同じ超臨界製造装置構成部材を中国向け納品であるのを承知で元SEMES社員らに提供していたとみられるともしている。

元SEMES社員は、2018年に中国の研究機関と接触して18億ウォン(約1億8000万円)を受け取り、中国企業と合弁企業を設立してSamsung仕様の超臨界流体洗浄装置を製造して中国側に渡し、これまでに800億ウォン(約80億円)を受け取っていたという。検察は、全体を指揮してきた主犯がほかにいるものとみて捜査を進めているという。

元社員らは、独自技術で製造し中国側に販売した合法的な商取引と主張しているが、検察は該当設備がSamsungの特注装置であるだけに独自技術で作り出すことは不可能だと見ている。

超臨界洗浄技術は2021年、韓国政府通商産業資源部(日本の経済産業省に相当)が「国家核心技術」に指定し、外国へ漏洩させた者は、無期懲役あるいは10年以上の有期懲役に処することができるように厳罰を科す方向で法律が改正された。しかし、今回の事件が発生した2018年には核心技術として未指定だったため、被疑者は産業技術流出の疑いのみの比較的軽い刑罰が適用される見込みだという。