日立製作所傘下の日立ビルシステムは5月23日、電気自動車(EV)からの給電で停電時にエレベーターの継続利用を可能とする「V2Xシステム」の実証を開始したことを発表した。
V2X(Vehicle to X)は、自動車とさまざまなモノとの接続や相互連携を行う技術の総称。エネルギー分野においては、電気自動車と住宅やビル、電力網(グリッド)などをつなぎ、電力の相互供給を行うことを可能にするV2Xシステムの実用化が進められている。
同システムは、広域災害などによる停電発生時に、V2X対応充放電装置であるハイブリッドPCS(太陽光発電設備用と蓄電池用の2つの直流交流交換装置を一体化した装置)を活用し、エレベーターなどのビル設備の電源を電気自動車からの給電に切り替える。同時にエレベーターについて分速30メートルの低速運転に変更する制御を行うもので、最大で10時間程度エレベーターを継続運転させることが可能だという。
同社は2022年中の実用化に向けて、ビルソリューションの研究開発などを行う亀有総合センター(東京都足立区)に同システムを導入しており、今後、実証を進めていく考えだ。