パーソル総合研究所が5月23日に発表した、新規事業開発に関する調査結果によると、新規事業開発「成功している」とする企業は約3割であることが分かった。
従業員数300名以上の企業で自社の新規事業開発を専任または兼務している担当者1800人に、新規事業開発の成功度をたずねたところ、「成功している」との回答は30.6%であったのに対し、「成功に至っていない」との回答は36.4%。企業規模や売上高による成功度の差異は見られなかったという。
また、新規事業開発担当者が感じている組織のマネジメント上の課題としては、「担い手となる人材の確保」(38.9%)、「知識・ノウハウ不足」(38.6%)がともに4割近くで多く、次いで「意思決定の遅さ」(30.7%)と「評価制度の不適合」(30.5%)が約3割と課題感が強い。一方で、「経営層の関与」(13.2%)や「担当者の士気」(11/4%)についてはあまり課題感を感じていない結果となった。
新規事業開発の最終決裁者は、新規事業開発を自社単独で行っている企業では「社長/CEO」(44.0%)が最も多く、社外組織と連携して行うオープンイノベーション型の企業では「新規事業開発担当役員」(40.8%)が最も多いことが分かった。
また、「社長/CEO」が最終決裁者の場合には、「意思決定の迅速さ」「新規事業開発のプロセス構築」「社内の関心の高さ」などの組織マネジメントに課題がある傾向が見られたという。
パーソル総合研究所 上席主任研究員 佐々木聡氏は「プロセスを見直す、現場に権限を与えて迅速な意思決定ができるようにする、といった経営層だからこそできる支援を行い、開発現場が効果的にマネジメントできる環境をつくることが肝要である」と指摘している。