東京工業大学(東工大)は5月19日、同大 国際先駆研究機構内に量子コンピューティングの基礎理論の研究を推進する「量子コンピューティング研究拠点」を2022年4月1日付で設置したことを発表した。

活動内容は、「高機能な量子コンピュータ(ゲート方式およびアニーリング方式)の将来的な実現に向けて、量子コンピューティングの基礎理論を中長期的な視野に立って強力に推進」と、「社会人を対象とした量子コンピューティングの基礎理論講座を開講し、広い視野を持つ人材を育成」の2点としている。

所属教員は、これまで東工大 科学技術創成研究院 基礎研究機構 量子コンピューティング分野の所属だった西森秀稔特任教授(東工大名誉教授兼務)、同・荒井俊太助教、東工大 理学院物理学系の大関真之教授(東北大学大学院 情報科学研究科 情報基礎科学専攻 教授とクロスアポイントメント)、田中宗特任准教授(慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科 准教授本務)、谷誠一郎特定教授(NTTコミュニケーション基礎科学研究所 本務)、ルガル・フランソワ特定教授(名古屋大学大学院多元数理科学研究科本務)の6名だが、東工大 情報理工学院から、山下真教授(数理・計算科学系)、小野功准教授(情報工学系)、森立平助教(数理・計算科学系)、渡辺治教授(数理・計算科学系)の4名も協力教員として参加するという。

東工大の渡辺治理事・副学長(研究担当)は、今回の量子コンピューティング研究拠点の新設に対し、「東京工業大学は、量子コンピューティングの理論において世界的水準の研究を推進してきた実績を持っています。実用性のある高機能な量子コンピュータの実現には数十年以上の長い年月がかかると予想されており、そこに至るまでにはハードの開発だけでなく基盤となる理論の大きな進展が必要です。大学は長期的展望に立つ研究を担う場であるという立場から、このほど、本分野における本学の伝統の上に立って量子コンピューティング研究拠点を設置し、基礎理論の研究を強力に推進することとしました。加えて、長期的視野を持つ人材の養成に資するために、企業向けの量子コンピューティング基礎理論講座を開講し社会に貢献してまいります。本拠点から世界をリードする研究が生まれ、それを通じて、よりよい社会の実現に向けて本学が重要な役割を果たすことを確信しています」とコメントしている。

なお、量子コンピューティング拠点が新設される国際先駆研究機構自体も2022年4月に新設されたばかりで、同機構は、東工大の研究戦略に基づき、強力な国際的な連携のもと、未開拓・革新性の高い研究に挑戦する世界最高水準の研究拠点を複数構築するための全学的な研究組織として位置付けられているという。