NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は5月20日、製薬会社や研究機関が行う臨床試験の評価精度向上を実現するデータ収集サービス「SmartPRO」を同日より提供開始すると発表した。同サービスにより、同社がデジタル技術の活用によって医療発展への貢献を目指す「Smart Healthcare」の実現にも取り組む予定だ。
同サービスは、臨床試験に参加する被験者や患者から直接得られる主観的な評価をスマートフォンなどの電子機器から回答できるePRO(electronic Patient Reported Outcome:電子的な患者報告アウトカム)システムだ。製薬会社や研究機関は被験者や患者のPRO(患者報告アウトカム)を閲覧およびダウンロード可能となる。
同サービスは被験者や患者が回答を忘れた場合に回答を促すリマインド機能を持ち、紙と比較してより確実な情報収集が可能だ。また、入力漏れや入力ミスを通知するアラート機能により、タイムリーかつ信頼性の高いPROが収集できるとのことだ。
さらに、同サービスはNTT Comが提供する医療ヘルスケア分野向けのデータ流通プラットフォーム「Smart Data Platform for Healthcare」上に構築しているため、収集されたデータは暗号化され不正利用を防げるという。
また、同サービスはWebブラウザ上で提供し、アプリのインストールなどは不要でスマートフォン操作に慣れていない被験者や患者でも比較的容易に利用を開始できる。利用方法に関するヘルプデスクにも同社が対応するとしている。2022年度内には臨床試験後も健康に関するさまざまなデータを記録できる日誌機能を実装予定だ。
新薬の開発や承認後の製造販売後調査では、臨床試験の一環として安全性や有効性のデータを収集し薬効などを評価する。その際には被験者や患者から直接得られるPROが評価項目の1つとして重要視されるが、被験者や患者の主観が伴う痛みや気分の悪さなどの評価は医師による客観的評価との差が課題であった。
また、従来利用されている紙を主としたPROでは、被験者や患者が回答を忘れてしまうことや、入力漏れや入力ミスによるデータの信頼性欠如が課題だ。そこで同社は同サービスの提供により、リマインド機能などに対応しタイムリーかつ信頼性の高いePROを実現し、臨床試験において被験者や患者が回答するデータの精度向上に貢献する。