国際的に活躍が期待される科学技術分野の若手女性研究者を表彰する第1回「羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)」の受賞者に、最優秀賞の京都大学数理解析研究所、山下真由子助教(数理科学)ら4氏が選ばれた。科学技術振興機構(JST)が発表した。17日に授賞式、18日に記念講演会が都内で開かれた。
山下氏は幾何学の代数トポロジーと呼ばれる分野と、理論物理学との関連を研究。世界的に実力が高く認められていることなどが評価された。賞金50万円のほか、副賞としてポーランドに渡航し、研究機関などを訪問するための滞在費が贈られた。賞金は日本電子の協賛による。
講演会で山下氏は「数学と物理学の架け橋となるよう、これからも研究を楽しんでやっていきたい」と意気込みを語った。次世代へのメッセージを求められると「自分も研究の方向性に迷ってばかりだが、分からないことがあるからこそ研究する意味がある。やりたいことを追究していけば悩みを超え、いつか研究が実りあると思えるものになるのでは」と訴えた。
他の受賞者は、奨励賞に理化学研究所開拓研究本部の木邑(きむら)真理子基礎科学特別研究員(宇宙物理学)と、米エモリー大学ロリンス公衆衛生大学院疫学学科・環境衛生学科の塩田佳代子氏(感染症疫学)。特別賞にノルウェー生命科学大学生物科学部統合遺伝学センターの齊藤真理恵プリンシパルインベスティゲーター(ゲノム進化学)。3氏にもそれぞれ賞金が贈られた。
同賞は日本の女性研究者の一層の活躍を推進するため、JSTと駐日ポーランド共和国大使館が創設。特に私生活上の重要なできごとが想定され、研究者としての活躍が最も期待される20代後半から30代前半の時期に、支援が必要と考えた。第1回の表彰対象は4月1日時点で博士取得後5年程度までの研究者や、博士後期課程の学生など。出産などで研究活動を休止した期間が考慮された。80人の応募があった。
キュリー夫人として知られるマリア・スクウォドフスカ=キュリー(1867~1934年)はポーランド出身。31歳でポロニウム、32歳でラジウムを発見した功績で、女性で初めてノーベル賞を受賞している。このことにちなみ、賞に名前を冠したという。
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