台湾のHon Hai Precision Industry(鴻海精密工業)の子会社であるBig Innovation Holdings(BIH、鴻海グループの半導体事業投資会社)とマレーシアのIT/eService プロバイダのDagang NeXchange Berhad(DNeX)は共同で、マレーシア国内に半導体前工程工場を建設・運営する合弁会社を設立する覚書(MoU)に調印したと5月17日に発表した。

採用するプロセスは28nmおよび40nmとしており、電気自動車(EV)向け車載半導体を月産能力4万枚(300mmウェハ)で生産する計画としている。覚書の有効期間は1年間。まだ建設場所も決まっておらず、世界的な半導体工場建設ラッシュで一部の半導体製造装置は納入まで2年以上かかることから、量産開始は2025年以降とみられている。

鴻海精密工業は2021年6月に子会社を通じてDNeXに5.03%出資し、DNeX傘下で8インチ(200mmウェハ)工場を保有するSilTerra Malaysia(シルテラ・マレーシア)に間接出資していた。鴻海グループには、台湾の旺宏電子(マクロニクス・インターナショナル:MXIC)から取得した台湾北部の新竹科学園区にある6インチ(150mmウェハ)工場と広島県福山市にシャープの8インチ(200mm)工場があるが、ともにきわめて古いプロセスのレガシー工場である。鴻海にとって、12インチ(300mmウェハ)工場は今回が初めてであり、いよいよ本格的な半導体事業へ参入することとなる。