帝国データバンクが5月18日に発表した「2022年度の設備投資に関する企業の意識調査」によると、2022年度に設備投資を行う予定や計画が「ある」と回答した企業は全体の58.9%であり、2021年度と比べて0.9ポイントの微増にとどまった。同調査の調査期間は4月15日~30日、調査対象は全国の企業2万4854社、有効回答企業数は1万1267社。
帝国データバンクの試算によれば、2022年度の実質民間企業設備投資額は87兆円で、新型コロナウイルス感染症の拡大前にあたる2019年度の90兆8000億円は下回るものの、2年連続での増加が見込まれるという。しかし、国内景気は下振れリスクが大きいため、今後の設備投資動向への影響も懸念されるとのことだ。
企業の規模別では、「大企業」は72.0%に設備投資があるが、「中小企業」は56.3%、「小規模企業」は43.7%にとどまる。また、予定している設備投資額について尋ねたところ、設備投資予定額における全体の平均は1億3083万円となり、2021年度(1億2,572万円)から増加した。
設備投資計画の内容(複数回答)では、「設備の代替」の41.5%が最多であり、以下「既存設備の維持・補修」(32.5%)、「省力化・合理化」(26.2%)、「情報化(IT化)関連」(24.5%)が続く。「情報化関連」と「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」のいずれかを選択した企業は34.3%であり、設備投資の予定(計画)が「ある」と回答した企業の3社に1社がデジタル投資を検討していた。
また、今回の調査では、企業の従業員数が多くなるにつれて、デジタル投資の割合が上昇する傾向がみられた。従業員数が1000人を超える企業では「情報化関連」が45.3%、「DX」が33.7%、いずれかを選んだ企業は61.6%と高い割合になっている。
2022年度に設備投資を「予定していない」と回答した企業に、設備投資を行わない理由と尋ねたとこと、「先行きが見通せない」が53.0%で最も多く、以下「現状で設備は適正水準」(26.4%)、「投資に見合う収益を確保できない」(20.8%)、「借入負担が大きい」(13.3%)、「原材料価格の高騰」(13.1%)が続いた。
「円安により燃料価格が高騰し、収益を圧迫させることが想定され、安易に設備投資はできない」、「同一作業機械設備が10年、20年前と比べて非常に高くなっている。さらに原材料高騰で金額が上がっているので予算が合わない」など、円安や原料高などによる先行き不透明感の高まりを、設備投資のマイナス要因に挙げる企業が目立ったという。
全体的な傾向として、従業員数が多い企業でITやDXなどのデジタル投資が進む一方、ウクライナ情勢や新型コロナウイルス感染症、原材料の価格高騰や供給制約、急速に進行する円安の影響などによる先行きの不透明感が、設備投資のマイナス要因となった。