量子科学技術研究開発機構(量研機構)は5月17日、日本として最先端の量子マテリアルを確保し、世界をリードする高度な量子マテリアルの供給基盤の整備や安定的な供給、研究開発などを担う「量子機能創製拠点」を、同機構内に5月26日付で設置することを発表した。

同拠点は、内閣府 統合イノベーション戦略推進会議によって2022年4月22日に策定された「量子未来社会ビジョン」に基づき、「量子技術イノベーション拠点」の体制強化として設置されるもの。

量子技術イノベーション拠点とは、理化学研究所をヘッドクォーター(中核拠点)とし、合計10の研究機関および大学が参加しているもので、組織名とその役割は以下の通りとなっている。

  • 理化学研究所:ヘッドクォーター
  • 産業技術総合研究所:グローバル産業支援(仮称)
  • 情報通信研究機構:量子セキュリティ
  • 物質・材料研究機構:量子マテリアル
  • 量研機構:量子機能創製(仮称)
  • 沖縄科学技術大学院大学:国際教育研究(仮称)
  • 大阪大学:量子ソフトウェア
  • 東京工業大学:量子センサ
  • 東京大学 企業連合:量子コンピュータ利活用
  • 東北大学:量子ソリューション(仮称)

量子機能創製拠点は、高精密な量子ビーム技術による量子機能の創製・高度化を通じて、高性能な量子機能を発揮する量子マテリアルの世界最先端の研究開発や、世界をリードする高度な量子マテリアルの共有基盤の整備や安定的な供給を担うことが目的とされている。また、量子技術イノベーション戦略に基づく量子技術の研究開発の推進や、産学協創により量子未来社会ビジョンに基づく量子技術の社会実装を加速することも役割として担うともしている。

  • 量子未来社会ビジョンにおける量子機能創製拠点の位置付け

    量子未来社会ビジョンにおける量子機能創製拠点の位置付けと量子技術イノベーション拠点の全体像 (出所:内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局が2022年4月22日に公表したPDF資料「量子未来社会ビジョン」)

なお、量子マテリアルとは、量子コンピュータ、量子センシング、量子ネットワークなどの量子デバイスを製造するために必要な、量子機能を発揮するための基幹材料であり、今後、量研機構では2022年4月1日に新設した「量子機能創製研究センター」を中核とした体制を構築し、「量子機能創製拠点」としての役割を担っていく計画としている。

  • 量子機能創製拠点の役割

    量子機能創製拠点の役割。量子技術イノベーション拠点に参画している5大学以外の大学や海外の研究機関などとも連携してミッションを進めていく (出所:量研機構資料PDF「量子機能創製拠点の概要」)