IDC Japanは5月17日、国内顧客データ・プラットフォーム(CDP)の市場動向を発表した。これによると、CDPを導入済みのユーザー企業は2割程度、導入を検討している企業は4割強に上り、中長期的なCDP市場の拡大が推察できるという。

  • 国内におけるCDP導入状況 資料:IDC Japan

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が拡大したことで非接触による行動様式の必要になったことに加え、企業が業務を継続するための手段として、過去2年間で顧客接点のデジタル化が浸透した。

一方で、企業におけるデジタル・チャネルの拡大による顧客のデジタル化および、デジタルとリアル・商品種類・購買地域を最適に組み合わせていく顧客の行動様式(顧客のボーダレス化)が進んでおり、商品・サービス・価格・マーケティングメッセージだけでは競合他社との差別化の維持が困難になりつつあるという。

また、企業が業務を遂行する際も、COVID-19感染拡大前から顕在化している少子高齢化による人手不足の継続や、2022年4月に施行した改正個人情報保護法への対応に迫られる中で、新たに設けたデジタル・チャネルごとの情報を統合・活用して業務効率化を行い、増加した顧客データを同意内容に基づいて利用目的ごとにセキュアに保存する必要性が高まっているとのこと。

2022年2月に同社が実施したユーザー調査によると、国内ユーザー企業でCDPを導入済みの企業は2割程度である一方で、CDPの導入を検討している企業は4割強に上っており、中長期的なCDP市場の拡大が推察されるという。

同社はポストCOVID-19における企業の収益レジリエンシーの向上において、CX(顧客エクスペリエンス)向上がより重要になると考えている。また、同調査によると、CXは現在の購入だけでなく将来の購買においても及ぼす影響は大きく、CXが企業の中長期的な収益レジリエンシーに関わることが判明している。

CXを向上する上で、CDPの活用は重要であり、CDPの適用範囲も企業における変革領域に応じて拡大すると同社は見ている。現在、国内ではCDP市場に参入するベンダーが拡大しており、今後も参入事業者の拡大やCDPを活用した企業のCX向上の取り組みが期待されるとのこと。

同社ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリストの太田早紀氏は、「今後、CDPの活用を通じてユーザー企業が収益レジリエンシーを維持、拡大するために、ITサプライヤーはCDPの長期運用につながるCX向上のためのロードマップ作成支援、CDP活用を促進する連携ツールの提案、CDP活用した収益レジリエンシーを強化するためのデータ収集/活用支援を積極的に行うべきである」と分析している。