OKIグループで、信頼性評価サービスを展開するOKIエンジニアリング(OEG)は5月16日、EV(電気自動車)、ADAS(先進運転支援システム)、自動運転向け車載電子機器の信頼性試験サービスの強化を目的とした「eモビリティテストセンター」(群馬県伊勢崎市)を開設した。
同社はもともと、2019年に「群馬カーエレクトロニクステストラボ」(群馬県伊勢崎市)を設立し、EV向けの試験サービスを提供していたが、試験ニーズの増加やユニット化に伴う大型製品に対応するため、群馬カーエレクトロニクスラボの敷地を379m2から717m2と約2倍に拡張し、21台の新装置を導入。eモビリティテストセンターとして新たに開設に至った。
EVに関連する試験のニーズが増えた背景には、CASE対応に伴いカメラやセンサといった車載電子機器が、露出した部分に装着されることが増え、温度変化や塩水といった自然環境への耐性評価が求められるようになったことや、部品メーカーが従来の系列(ケイレツ)を超え、新たに欧米の自動車メーカーに参入を目指す脱ケイレツ化、部品メーカーによる試験のアウトソーシング化があるという。
なお、同社が2017年に開設した「カーエレクトロニクス テストラボ」(埼玉県本庄市)は内燃機関を持つ自動車向けに試験を提供し、eモビリティテストセンターはEV向けという形で使い分けていくとのことだ。
新たに試験装置として加わったのは、「飛石試験装置」、「減圧試験装置」、「ガス腐食試験装置」、「塩水試験装置」、「オゾン試験装置」、大型製品対応の「熱衝撃装置」などの21台で、装置や工事費を含め、約3億円の投資となったとしている。
塩水試験装置は、噴霧方法やメーカーなどが異なる5台が導入され、日本だけでなく欧米の自動車メーカーの規格にも対応が可能だ。
オゾン試験装置は、屋外で使用されるプラスチックやゴム製品の劣化の原因となるオゾンを発生させ、自動車部品の耐候性試験に対応している。今回2台が導入されたが、今後大型製品に対応したオゾン試験装置も導入予定だという。
飛石試験装置は、自動車が巻き上げる砂塵や小石による衝撃を模擬した試験装置。車載カメラやセンサ、ボディなどの耐久性を評価する。
なお、OEGではカーボンニュートラルの動きに対応し、試験ごとにCO2排出量を開示している。
同社はeモビリティテストセンターの開設により、試験能力を強化し、2022年度で自動車分野の売上高を前年比で15%増加させることを目指すとしている。