中央大学(中大)、東京工業大学(東工大)、大阪大学(阪大)の3者は5月12日、新しい機能を示す光センサシートを開発し、そのセンサシートを用いた簡便な液体化学分析手法を確立したことを発表した。
同成果は、中大 理工学部 電気電子情報通信工学科の河野行雄教授(東工大 科学技術創成研究院 未来産業技術研究所 特定教授兼任)、東工大 工学院 電気電子系の李恒大学院生、阪大 産業科学研究所の関谷毅教授、同・荒木徹平助教を中心に、オランダ・アイントホーフェン工科大学、産業技術総合研究所の研究者も参加した国際共同研究チームによるもの。詳細は、米科学誌「Science」系のオープンアクセスジャーナル「Science Advances」に掲載された。
液体中の化学成分を分析する技術は、さまざまな場面で活用されるが、従来手法である遠心分離や試薬反応などでは、検体採取や測定器内での試薬投与といった工程が必要であり、観察対象に対するオンサイトかつ動的な環境での計測の実現に対するボトルネックとなっていたという。
一方、サンプル非採取かつラベルフリーな液質検査手法としては、紫外線計測が挙げられるが、光学計測は外部光源や光学系を要する巨躯なシステムとなり、携帯性に課題があった。加えて、オンサイトかつ動的な環境計測に向けては、透明性の高い材料を用いた液体流路に限定され、不透明な流路内部に対する非破壊液質検査実現への障壁となっていたという。
こうした背景から、ユビキタスな液質検査の実現には、サンプル非採取かつラベルフリーな非破壊計測手法の創出が求められていることを受け、研究チームは今回、観察対象流路へセンサシートを貼り付けるだけという手法を考案。簡便な工程により、内部を流れる液体の濃度計測に成功したとする。