日立製作所は5月16日、ベトナムの国営企業であるベトナム郵便および消費者金融機関であるベトクレジットと共に、ベトナムでの新たな金融サービスの確立に向け協業を開始すると発表した。
具体的には、エンドユーザーとベトクレジットのオペレーターをビデオ通話でつないで個人ローンの申込・契約などを可能にするという、日立のタブレット型自動契約端末である「C-ACM」について、2022年5月からベトナム郵便の40拠点で導入開始し、今後ベトナム全土に展開するベトナム郵便の各拠点への同サービス拡大を目指す。
今回、日立の持つ日本の金融機関向けチャネルシステムの構築実績によるノウハウ、ベトナム郵便の全土63省にわたる拠点ネットワーク、ベトクレジットの市場ニーズに応えた金融商品を組み合わせた、新たな金融サービスを確立し、ベトナムの社会課題の解決に取り組むという。
具体的には、ベトナム郵便の拠点にC-ACMを設置しローンの申込受付から契約までを可能にするサービスを、ベトクレジットが提供する。申込時は、タブレット端末の通話機能を使ってエンドユーザーとベトクレジットのオペレーターをつなぐ。タブレットで撮影した本人確認書類から申込情報の確認・修正をオペレーターがその場で実施でき、書類の再提出などの手戻りの発生を防ぐという。
また審査では、稀な事象の発生を予測できるという日立の人工知能(AI)である「Hitachi AI Technology/Prediction of Rare Case(AT/PRC)」を使用し、審査スキルの属人化を防ぐと共に、より精緻な審査が可能になるといい、貸出限度額の引き上げにつなげることも期待できるとしている。
さらに、C-ACMの「Re-Entry機能」により、再来店後も途中からの申込手続が可能とのこと。なお、今回の協業におけるC-ACMの開発・運用は、日立のベトナム現地法人であるHitachi Asia(Vietnam)が対応する。
これにより、これまで金融サービスが行き届いていなかった農村部を始めとする地方にも、都市部と同等のサービスを提供可能になるなど、ベトナム全土にわたって地域の隔たりなく、生活に必要なサービスを受けられる社会の実現に取り組むとしている。今後は、ベトナム郵便とベトクレジットの両社が提供する商品・サービスを連携した新たなビジネスの展開など、協業をさらに加速するという。
将来的には個人ローンに加え、保険を始めとするその他の金融サービスや公共サービスなどへの対応、さらには既に展開しているベトナム郵便の非現金サービスとの連携も検討するなど、日立はデジタルソリューションである「Lumada」を核に、ベトナムの社会サービスの拡大と利便性の向上を図り、同国における生活の質向上に貢献するとしている。