NXP Semiconductorは5月3日、同社のCrossover Processorであるi.MX RTシリーズにハイエンド品となる「i.MX RT1180」を追加した事を発表した。これに関する説明会が5月13日に開催されたので、その内容をお届けしたい。
i.MX RT1180は、インダストリアル向けのネットワーク用の製品とされる。厳密に言えば今後は自動車向けのラインナップも用意されるらしいので、その意味では汎用のネットワーク向けではあるのだが、最初のターゲットはインダストリアル向けとされる。そのインダストリアル、IIoTとかIndustry 4.0などの話は以前から出ているが、新規建設の工場はともかくとして、既存の工場をIndustry 4.0化するにあたり、設備を全部入れ替えるという事はレアであり、通常は既存の設備をそのまま生かしながらIndustry 4.0対応を目指すという方向性になる。そのIndustry 4.0はTSNベースのField Busを使うのが最近の流行であるが、既存の設備は必ずしもTSNベースではない事も多い。したがって、従来のField BusとTSNベースのField Busのブリッジ機能が必要となる(Photo01)。
実は同種の製品として、すでに「i.MX RT1170」が出荷されている。こちらの方が実はコアの動作周波数などはやや高くなっているのだが、TSN対応のGbEは1ポートしかない、という問題がある。なので外部にTSN対応のEthernet Switchが必要になり、それが高コストにつながるという欠点があった。i.MX RT1180ではオンチップで4ポートのTSN Switchを内蔵しているため、小規模な接続であれば外部のTSN Switchを必要としない点が、i.MX RT1170との大きな違いになる、とされる(Photo02)。
またセキュリティに関しても、i.MX RTシリーズとしては初めてEdgeLock Secure Enclaveを搭載。IEC 62433に準拠したセキュリティ基盤を提供するとされる(Photo03)。この辺りもIndustry 4.0では欠かせない要素となる。