凸版印刷は5月16日、温度を一定時間ごとに測定・記録し、その履歴データを無線通信によりデータベースに転送できる薄型カードサイズの「温度ロガーラベル」を開発したことを発表した。同製品の価格は未定で、2022年6月からの販売開始を予定している。
同製品は、貼付された荷物の表面温度の変化を任意のタイミングで自動的に記録し続ける。5メートル程度の長距離通信が可能な「UHF帯」と、スマートフォンへの搭載が進む「NFC」の2種類の周波数帯に対応。経由地や最終目的地などで、専用アプリケーションを使って読み取られた、出荷からその時点までの「ログデータ(日時と温度などの記録)」と読み取り場所などの「トレーサビリティ情報」は、専用のクラウド型管理システムに転送され、輸送中の温度変化を時系列的に追跡・管理する。
また同製品は、使い切り型のバッテリーを搭載しており、データダウンロード用の端子や表示用ディスプレイを省くなどシンプルな構造を採用した結果、既存の「温度ロガー機器」と比較して10分の1以下の価格での提供を予定している。
温度測定の間隔は1秒ごとから60分ごとまで22段階から選択可能。例えば、60分ごとの測定なら6カ月間分の温度履歴を記録できる。また、温度測定の開始をタイマー設定することができるので、冷蔵保管庫内での作業時間が短縮され、作業者の負荷を軽減する。
さらに、温度測定モードを3種類から選択できる。ICチップに測定日時と温度情報を記録する「通常モード」と、温度情報のみを記録し、データを読み取った後に管理システム上で日時と付け合わせる「コンプレスモード」。さらに、「常温」「冷蔵」「冷凍」といった「温度帯区分」のみを記録する「リミットモード」を導入。「リミットモード」では、「通常モード」より8倍多く3万8000回以上の回数を記録することが可能。
また同社は、同製品に保存された温度記録を読み取る専用のアプリケーションと、読み取った温度記録を可視化するクラウド型の管理システムも開発。クラウド型管理システムには、「温度ロガーラベル」への不正アクセスを防ぐ「アクセス認証機能」や、輸送品の状態を管理する「トレーサビリティ管理機能」など、長距離輸送時の温度管理に求められる機能を搭載している。
凸版印刷は、同製品とすでに開発・提供しているID認証プラットフォームを組み合わせることで、輸送中の温度管理だけでなく、商品の真贋判定やトレーサビリティ、顧客接点の強化など、サプライチェーン全体を最適化する包括的なサービスを実現する考え。凸版印刷はソフトウェアやシステムを含めた温度管理ソリューション関連事業で、2023年度に5億円の売上を目指す。