Texas Instruments(TI)の日本法人である日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は5月13日、統合絶縁デバイスに関する新製品発表会を開催し、車載認定のソリッドステート・リレーとして「TPSI3050-Q1」および「TPSI2140-Q1」などを披露した。
今回発表されたソリッドステート・リレーである10Vゲート・サプライを内蔵する絶縁スイッチ・ドライバー「TPSI3050-Q1」ならびに1400V耐圧50mA絶縁スイッチ「TPSI2140-Q1」は、単一の絶縁バリアで電力と信号両方の伝送を可能とすることで、従来のメカニカル・リレー製品と比べサイズを最大90%、コストを最大50%削減させることができるという。また可動接点部分を持たないため、可動接点部分の劣化により長期使用で故障が発生しやすいメカニカル・リレーに対し長い動作寿命が期待でき、TPSI3050-Q1の場合、従来ソリューション比で約10倍になるほか、最大5kVRMSまでの強化絶縁に対応可能だとする。
これらの製品には車載認定の絶縁ドライバおよびスイッチが含まれており、、高電圧化が進む電気自動車(EV)のバッテリ管理システムにおいてより迅速な障害検出と高い信頼性を実現し、安全性を向上させるという。
登壇したTIのパワー・スイッチ担当マネージャーであるプリア・タニガイ(Priya Thanigai)氏は、「我々は、メカニカル・リレーは完全にソリッドステート・リレーへと置き換わっていくと考えている。その理由としては、メカニカル・リレーが持つすべての機能に加えて、高い信頼性と長い寿命を持つことが挙げられる」と語った。
2製品ともに現在、量産認定前のサンプルをそれぞれ1.99ドル、2.75ドルで入手可能であるほか、それぞれの評価モジュールについても各49ドルで入手可能だとした。
また、今回の会見では、システムの異常を検出する絶縁型コンパレータ「AMC23C12」も併せて発表された、同製品は、標準的なコンパレータの機能と信頼性の高いガルバニック絶縁バリアを組み合わせた構造で、絶縁が必要な双方向過電流などの検出に向けた製品として業界最小クラスのサイズだとするほか、応答時間も400ナノ秒未満と高速で、システムの保護能力を強化するとした。
なお、会見では同社は2021年9月に発表した絶縁型DC/DCバイアス電源モジュール「UCC14240-Q1」に代表される、絶縁型の電力伝送機能をICサイズのパッケージに小型化する独自トランス内蔵技術も紹介。TIでは、こうした技術革新を続けていくことで、今後も新たな絶縁関連製品の開発を進めていくとしている。