パーソル総合研究所は5月13日、従業員規模300名以上企業に就業する20~64歳男女を対象に実施した、企業における戦略人事に関する調査結果を発表した。

同調査は、必要性が高まっている「戦略人事」(経営資源の1つである『ヒト』の価値を最大化するために、経営戦略と連動した人事戦略を策定・実行すること)に関して、実態を定量的なデータで把握し、経営や人事に資する提言を行うことを目的に実施したもの。

調査内容は、戦略人事の実現度や現状、近年注目が集まるHRBP(HRビジネスパートナー)や事業部人事を中心としている。

まず、「戦略人事の実現度」に関するアンケートでは、日系企業の経営層・人事部管理職947人中、29.7%の人が「肯定」的な回答を行い、41.6%の人は「否定」的な回答をする結果となった。 また、企業規模が大きいほど、「肯定」的な回答の割合は多い傾向にあるという。

  • 戦略人事の実現度(全体) 引用:パーソル総合研究所

「HRBP」と「事業部人事」の設置率を聞いた調査では、HRBPの設置率は11.3%、事業部人事の設置率は27.5%となった。 いずれも企業規模が大きいほど設置率が高く、業種別では、「製造業、インフラ業」「情報通信業」のHRBPの設置率が高い傾向にあるのだという。 また、人事部管理職に対し行われたHRBPの認知度をたずねる調査では、「他者に説明できる」「知っている」と回答した割合は38.3%であった。

  • HRBP/事業部人事の設置率(全体)引用:パーソル総合研究所

パーソル総合研究所上席主任研究員の佐々木聡氏は、「今回の調査結果から『戦略人事』の実現はまだ道半ばである実態が見えた」と述べている。 その上で、戦略人事を推し進める上で着目すべき点としては「本社人事による『選択と集中」」「戦略人事に欠かせないHRBP/事業部人事の再定義からはじめる」「戦略人事のインフラとして人事データの活用を進める」という3点を挙げている。