大林組とパナソニックコネクトは5月12日、建設作業員へのサービス提供に向けた顔認証統合IDプラットフォームの構築に着手したことを発表した。

同プラットフォームは生体認証技術の一つである顔認証を活用し、作業員がカードやデバイスを持つことなく本人であることを証明できるもの。両社は通勤時のシャトルバスへの乗降確認や入退場時のセキュリティチェックなどを想定した顔認証の実証実験を実施した。

具体的には、パナソニックコネクトID管理・顔認証技術を活用し、バスの乗降口付近や、建設現場の各所に設置したタブレット端末により、事前に登録した建設作業員の顔画像との照合を行い、認証精度を確認した。屋内、屋外、時間帯の違いなどの環境変化、顔の露出量、マスクやヘルメットの着用など条件変化を加えながら繰り返し認証を実施した結果、いずれも精度よく認識したという。

  • 顔認証実験の状況(左:路線バスでの乗降時認証、右:建設現場内での作業員認証)

    顔認証実験の状況(左:路線バスでの乗降時認証、右:建設現場内での作業員認証)

またシャトルバスを想定した実験では、路線バスおよび2種類の観光バスを使用し、乗降口で顔認証し乗車する平均乗降時間を算出。実証実験結果から、想定乗車人数を1台40人とした場合、平均して3分半程度で乗降ができたという。さらに建設作業員に、顔認証技術の印象や顔画像を使った建設現場サービスへの期待度について聞いたところ、登録作業の分かりやすさや認証の技術的な面では8割以上が「満足」と回答。

両社は、同取り組みを2025年に開催予定の大阪・関西万博開催に向けて建設工事が本格化する夢洲(ゆめしま)など、大規模な地域開発に向けてのサービス開発と位置付ける。近隣の駅からシャトルバスを運行することにより、通勤車両を削減でき、周辺道路の渋滞緩和やCO2排出量削減につなげる。

今後はさらに、建設現場内での弁当や飲料の購入決済、現場内でレンタルする資機材や配達物の受け取りの際の本人確認など、さまざまなサービスの展開を進める考えだ。