アイ・ティ・アール(ITR)は5月12日、国内の人材管理市場規模推移および予測を発表した。これによると、同市場の2020年度の売上金額は128億1000万円、前年度比32.1%増だったという。
2020年度の同市場は、影響力を持つシェア上位のSaaSベンダーが売上げを伸ばし牽引したとのこと。2021年度も同様の動きが見込まれ、同社は2020年度と比べて28.5%増になると予測されている。
同社の分析では、テレワークが広く普及したことに加え、時短勤務や限定正社員などの新たな雇用形態の発生、ワークライフバランスの浸透などにより、勤務スタイルの多様化が進んでいる。また、年功序列や終身雇用制度が改められ、人材の流動化も進んでいる。
こうした潮流を背景に、人材管理製品・サービスの導入によって個々の従業員が持つスキルを詳細に把握し、これらのデータを効率的かつ高度に管理することで生産性の向上につなげようとする企業が増加しているという。
これらの要因から、同市場の2020~2025年度におけるCAGR(年平均成長率)は17.9%で推移し、2025年度には300億円規模に達すると同社は予測する。
同社のリサーチ・フェローである平井明夫氏は、「人材管理業務は、OKR(Objectives and Key Results)やジョブ型雇用の導入などにより高度化が進んでいくと見られます。そのため、人材管理システムに人材に関する多様なデータを統合することによって、今まで得られなかったさまざまなビューを提供するための統合データベースとしてのニーズが増加するでしょう」とコメントしている。