高い成長が期待されるSiCパワーデバイス市場
半導体市場調査およびコンサルティング会社の仏Yole Développementは、SiCパワーデバイス市場について、2021年の10.9億ドル規模から、年平均成長率(CAGR)34%で成長を続け、2027年には63億ドル規模に達するとの予測を公開した。
用途別に見ると、2021年は車載用途がメインで、全体の63%に当たる6.85億ドル。これが2027年には全体の79%にあたる49.85億ドルへと成長することが予測されている。車載用途以外ではエネルギー(太陽光発電、風力発電など)向けが1.5億ドル、産業向けが1.3億ドル、交通向けが0.8億ドルなどとなっているが、2027年には産業向けが5.5億ドルとエネルギー向けの4.6億ドルを抜く見込みだとしている。
2021年のSiCパワーデバイスメーカー売上高ランキング
また、Yoleでは2021年のSiCパワーデバイスメーカーの売上高ランキングも公表。それによると、2021年のSiC市場は前年比57%増となり、トップのSTMicroelectronicsと3位のWolfspeedが年率50%以上の成長率を見せたほか、2位のInfineon Technologiesに至っては産業用アプリケーションを基盤として主要なインバータ事業への参入により、年率126%という成長率を達成。5位のonsemiも40%を超す成長率を示したという。
トップのSTは、モジュールがTesla Model 3で数年間使用されていることなどで売り上げを伸ばしているほか、すでに他社に先駆けて自社での8インチ(200mm)SiCウェハでの実証を行っている。また、onsemiは2021年、SiCの製造企業であるGT Advanced Technologiesの買収を完了させるなど、生産能力の拡大を進めている。
ちなみに上位6社には日本のロームが4位、三菱電機が6位に入っているものの、その成長率は1桁台に留まっている。
なお、筆者がYoleに確認したところ、SiCパワーデバイスメーカーを売上高上位10社で見ると、7位が富士電機、8位が米GeneSiC Semiconductor、9位が東芝、10位が独SemiKronとなるという回答を得た。つまり、トップ10社で見ると、日本勢は4社ランクインすることとなる。
同社の調査によると、富士電機の2021年の売上高は前年比4%増の1800万ドル、東芝は同7%増の1250万ドルとなっており、ローム、三菱電機同様、1桁成長に留まっている。