日建設計、日建設計総合研究所、東邦ガス、住友商事マシネックス、アラヤは5月9日、AIで既存の地域冷暖房における課題を解決する「AI地域冷暖房(通称 AIちれい)」を共同開発し、2022年5月~2024年3月の期間、名古屋栄三丁目北地域冷暖房において「AIちれい」の実証実験を行うことを発表した。
地域冷暖房は、地域における未利用エネルギーを活用しながら、エリア単位で冷暖房用のエネルギーをまとめて製造、地域の複数建物に供給することで環境性・経済性・防災性を高められる都市インフラシステム。
2050年のカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、CO2削減効果が見込める地域冷暖房は熱エネルギー分野で着目されているという。
今回開発された「AIちれい」は、AIプログラムを組み込んだエッジパソコンを設置し、運転データを読み込ませるだけで、ローコストかつ短工期でCO2削減を実現する製品。 エッジパソコンを設置するのみで稼働が可能なため、運転を止めることなく使用できるという。
今回、組み込まれるAIは「熱量・送水量需要予測AI」「送水温度判定AI」「熱源機の省エネ判定AI」の3種類。
「熱量・送水量需要予測AI」は、省エネルギーを達成のために重要な、熱源機を必要な時に必要な台数だけ運転して無駄をなくすというもの。同AI により数時間先の冷暖房に必要な需要量(熱量・送水量)を予測することができ、必要最小限の台数での運転が可能になるという。
「送水温度判定AI」は、需要家側の室内温度や熱負荷の状況を AI が判定して、冷房時には冷水温度を上げ、暖房時には温水温度を下げる運転を行うもの。同AIにより熱源機の効率の向上が期待されるという。
「熱源機の省エネ判定AI」は、長く使い続けると省エネ性能が低下していき、どの機器を使えば省エネになるのかが分かりづらくなるという課題にアプローチするもの。最も省エネ性能の高い機器をAI で判定し、優先して運転を行うことができるという。