凸版印刷とマイオリッジは4月25日、細胞培養領域における製品・サービスおよび研究開発の推進に向けた資本業務提携契約の締結を発表した。
健康・ライフサイエンス分野を成長領域の1つとして位置付け、総合研究所で研究開発を進める凸版印刷は、独自の製法により複数の細胞を立体的に共培養することで、人体の微小部位を疑似的に形成することができる「3D細胞培養技術」の開発を行っている。
一方のマイオリッジは、京都大学の研究成果を基に設立され、細胞製品や培地の販売、培地開発支援サービス、その他基材・操作法・装置などの細胞培養に関する全工程俯瞰型の開発支援サービスを行うスタートアップ企業で、さまざまな培地を低コストで設計・提供できることを強みとした多様なサービスを展開している。
凸版印刷が開発している3D細胞培養技術は、独自の製法により複数の細胞を立体的に共培養することで、人体の微小部位を疑似的に形成することができる技術で、薬効試験や毒性試験を含む創薬研究や個別化医療、培養食料、再生医療など、幅広い分野での応用可能性が期待されているという。
凸版印刷は、創薬研究の分野においても薬剤評価に使われるマウスの代替を目指して臨床研究を推進しているほか、産学連携での取り組みも実施しており、2017年4月には大阪大学大学院工学研究科に「先端細胞制御化学(TOPPAN)共同研究講座」を設置し、同大学の松崎典弥教授と3D細胞培養技術の基礎研究を共同で行っているという。
現在、一般的に使用されている培地は3D細胞をはじめとする細胞培養に必要不可欠である一方で、さまざまな成分が複雑に絡み合い効果を発揮するものであり、専門知識や経験がないと短期的なトラブルシューティングが困難という問題点があり、また製品・サービス化に向けての課題が多く、再生医療、抗体医薬、細胞医薬、培養食料などの分野では、高い品質を保ったまま低コストで大量培養することが難しいことが共通の課題になっているとのことだ。
今回の提携により凸版印刷は3D細胞培養技術の開発を加速するとともに、両社の技術・ノウハウを活かした培地の安定供給、規制に適合した培地開発、スケールアップ時の培地低コスト化を目指し、細胞培養領域の新事業創出を促進する計画だとしている。