NTTデータグループの自動車技術のR&DセンターであるNTTデータ オートモビリジェンス研究所(ARC)は4月22日、「J-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッドダイナミクス)」および「NTTデータ」との業務提携による自動運転・先進安全支援領域の共同研究成果として、自動運転システム検証基盤ソフトウェア「ZIPC GARDEN Automation」のリリースを発表した。

自動車業界各社が技術開発を進める自動運転領域では、車両開発プロセスにおいて自動運転システムの安全性を確実かつ効率的に保証する手法が大きな課題であり、運転シーンに関するデータやナレッジを網羅的に蓄積・分析したデジタルツイン空間の活用を通してバーチャルシミュレーションを可能にすることで、量産プロセス早期段階での安全性検証、テストやキャリブレーションの省力化、市販後の運用モニタリング結果のフィードバックに基づいた設計・実装の改善などのイノベーションが求められているという。

J-QuAD DYNAMICSは、デンソー、アイシン精機、アドヴィックス、ジェイテクトの4社が共同出資により設立した企業で、自動運転の実現に必要な車両統合制御ソフトウェアの技術開発を推進している。

ARCはJ-QuAD DYNAMICSとの共同研究で、自動運転システムのバーチャルシミュレーション環境における、シナリオベース開発プロセスを用いた有効かつ効率的な安全性検証を実現するテクノロジーを確立し、ZIPC GARDENシリーズとしてソフトウェアサービス化していく予定とのことだ。

  • 次世代車両開発プロセスにおけるZIPC GARDENラインアップの活用イメージ

    次世代車両開発プロセスにおけるZIPC GARDENラインアップの活用イメージ(提供:ARC)

今回リリースされたZIPC GARDEN Automationは、ARCが研究開発した独自アルゴリズムおよびアーキテクチャをもって運転シーンに関するデータやナレッジを有効かつ効率的に分析することで、自動運転システムのバーチャルシミュレーションで実行すべき重要シナリオを網羅的に自動生成するクラウド型検証基盤ソフトウェアである。

基本機能は年額課金のWebサービスとして提供するとともに、自動車メーカー・サプライヤ各社の開発環境の状況に応じたエンジニアリングサービスをあわせて提供することで、各社において最適な開発・運用環境構築(バーチャルプライベートクラウド)の支援も可能だという。

またARCでは2021年6月に、オープンソース版自動運転システム検証基盤ソフトウェア「GARDEN ScenarioPlatform」を先行してリリースしており、今後同ソフトウェアに実験的な新機能を追加し自動車業界に向けて広く無償公開することで得られる業界各社のニーズや知見を、ZIPC GARDENのサービス拡充に反映していくという。

ZIPC GARDENは今後サービスラインアップの拡充を予定しており、バーチャルシミュレーション実行機能を備える「ZIPC GARDEN Simulator」を2023年に、量産市販後の車両の稼働状況をモニタリング・学習して車両開発プロセスにフィードバックすることで製品のブラッシュアップにつなげる「ZIPC GARDEN DevOps」を2024年にそれぞれリリースする予定だという。