3年ぶりのリアル開催となった「ニコニコ超会議」
「ニコニコ超会議2022」が4月29日~30日、幕張メッセにて3年ぶりにリアル開催された。ニコニコ超会議のリアル開催を待ち望んでいた人も多いだろうが、今回の注目は、インターステラテクノロジズ(IST)が初出展していることである。この「超宇宙開発 POWERED BY ホリエモン」ブースの様子を早速レポートしたい。
宇宙関連のブースというと、説明パネルや縮小模型だけの展示であることも多いが、ISTブースの魅力は、何と言っても“実物”がゴロゴロ転がっていることだ。やはり実物の迫力に勝るものはない。特に、打ち上げ直後に落下して炎上した観測ロケット「MOMO」2号機の残骸は圧巻。一般への公開はこれが初という、貴重なものだ。
MOMOは7号機も展示されていて、来場者の搭乗体験が行われていた。しかし7号機はすでに、2021年7月に打ち上げたはず。機体は回収していないので、じゃあここにある機体は何だ? というと、じつは打ち上げられることがなかった幻の実機なのだ。
7号機は当初、2020年7月に打ち上げる予定だったが、点火器に問題が発生し、2回にわたって延期。その後、同社はMOMOを全面的に改良することを決め、新型の「MOMO v1」が完成、7号機はその初号機となった。7号機は新たにv1として作り直したため、古いv0版の機体がそのまま残った。これはそのv0版の機体である。
現在開発中の超小型衛星用ロケット「ZERO」については、実物大バルーンが展示されていたほか、エンジン関係の部品も紹介されていた。エンジンの実物大モックアップは、ガスジェネレータサイクルであることが分かる程度のイメージで、実際のエンジンとはかなり異なるそうだが、ZEROはこれを第1段に9基、第2段に1基搭載する。
燃焼室に 推進剤を供給するターボポンプは、概念模型を展示。実物とは細部が違うものの、中央のタービンをガスで回し、両側のポンプを駆動する仕組みが分かるだろう。そのほかジンバルジョイントや直動アクチュエータも展示していたが、同社はこれらをすべて内製することで、大幅なコストダウンを目指している。
ターボポンプは、エンジン開発における最難関の1つだ。JAXAのH3ロケットは、LE-9エンジンのターボポンプで起きた共振などの解決に手間取り、完成が遅れている。高速回転し、流体を扱うターボポンプはそれだけ難しいということで、ZEROで初めてターボポンプを開発するISTがここをクリアできるかは、大きな注目ポイントである。
ブースには、物販コーナーも用意。いかにも同社らしかったのは「ロケットガチャ」だ。1,000円と5,000円の2種類があり、地上試験で使った部品や装置など、様々な物が景品として提供されていた。中には一品モノも入っていたりするので、マニアなら狙いたいところだろう。
またこういったイベントでは、現役のエンジニアから直接話が聞けるのも嬉しいところだ。ブースでは、同社の稲川貴大社長が自ら技術解説を行っていたほか、各部門のエンジニアも多数スタッフとして参加。ときにはMOMOの元プロマネが物販コーナーで売り子をやっていたりするので、油断は禁物だ。