日立製作所(日立)は4月28日、2022年3月期の連結業績(2021年4月1日~2022年3月31日)を発表した。売上高は前年比18%増で10兆2,646億円、調整後営業利益(売上高ー売上原価-販売費及び一般管理費)は49.1%増で7,382億円だった。
親会社株主に帰属する当期利益は16.3%増の5,834億円と過去最高を達成。市況の回復傾向や、パワーグリッド事業および米GlobalLogicの買収、日立Astemo統合などの影響により増収したと同社はみている。
売上高を分野別にみてみると、主要5分野(IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフ)は9%増の6兆6,992億円、オートモティブシステムの日立Astemoは62%増の1兆5,977億円、上場子会社(日立建機、日立金属)は25%増の1兆9,676億円だった。
なかでも、同社のIoT基盤である「Lumada」事業の成長が堅調だ。同事業の2022年3月期の売上高は1兆6,090億円と、前年比44.9%増を達成している。また、買収したGlobalLogicが大手欧米企業を中心にデジタルソリューションの新規案件を獲得している。
なお同社はLumada事業の区分について、今まで「コア事業」「関連事業」の2区分で管理してきたところ、事業の実態をより明確に示すため4区分での管理に変更する。
新規の事業区分は、DXのコンサルティング、顧客協創に基づくデジタルソリューション事業の「コネクテッドプロダクト」、デジタル技術を活用したSI事業、OT系のエンジニアリングサービスを手掛ける「システムインテグレーション」、クラウド型サービス、機器・設備の稼働監視サービス「マネージドサービス」、デジタルサービスの基盤となるデータ収集/送信機能を備えた機器・設備「デジタルエンジニアリング」の4つだ。
それぞれの分野の同期売上高は、「コネクテッドプロダクト」が4,030億円、「システムインテグレーション」が3.660億円、「マネージドサービス」が5,050億円、「デジタルエンジニアリング」が1,190億円だった。
一方で、2023年3月期の見通しでは、売上高は7%減の9兆5000億円を見込む。日立建機の一部株式および日立金属株式の売却により減収減益が予想されるとのことだ。
また日立は同日、2024年中期経営計画も発表した。2021年度~2024年度のCAGR(年平均成長率)5%~7%、3年累計フリーキャッシュフロー1.4兆円を目指す。日立 執行役社長兼CEOの小島啓二氏は「Lumadaを中心に、デジタルとグリーンに関する事業ポートフォリオの強化を継続する」と説明。
Lumada事業では、顧客との価値協創のサイクルをデータ駆動で回し、サイクル全体で収益を拡大する成長モデルを実現する。同事業単体で、2024年までに売上高2兆7,000億円、調整後EBITA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization)16%を目指す。
具体的には、製造プロセスとアセットマネジメントの2軸で革新を進める。生産現場からバリューチェーン全体まで可視化・分析するソリューションとプロダクトのコネクテッド化を基軸に顧客のビジネスプロセスを変革する。そして、顧客の経営課題を基点としたEnd to Endビジネスへの変革を加速させ、電力設備から他業種の大型設備へ対象を広げて事業拡大する狙いだ。
小島氏は、「過去10年間にわたって構造改革を一生懸命進めてきた。サステナブル経営の深化、Lumadaによる高収益化などにより、これからはデジタル、グリーン、イノベーションでグローバルに成長する企業へと進化していきたい」と意気込みを見せた。