北海道大学(北大)と中央大学は4月25日、生後半年以上の乳児では、視野の下にある顔よりも、上にある顔に最初に目を向けやすく、しかも上にある顔をよく覚えることを明らかにしたと発表した。

同成果は、北大大学院 文学研究院の鶴見周摩 博士研究員(中央大 研究開発機構 機構助教兼任)、日本女子大学 人間社会学部心理学科の金沢創教授、中央大 文学部心理学専攻の山口真美教授、北大大学院 文学研究院 心理学講座の河原純一郎教授の共同研究チームによるもの。詳細は、科学的発達心理学と発達認知神経科学を扱う学術誌「Developmental Science」に掲載された。

ヒトの視覚処理は、視野の場所によって得意不得意があるという。「顔」の場合は、視野の下より上の方が発見されやすく、視線の方向や性別の判断も速くなる。これを「顔の上視野優位性」と呼び、上に提示される顔に対してバイアスがあることが示されている。

研究チームは今回、その顔の上視野優位性が生まれ持ったものなのか、経験として獲得していくものなのかを検討することにしたという。もし経験が重要ならば、経験の積み重ねにより、顔の上視野優位性を獲得していく時期があるはずだが、経験が必要ないのであれば、生まれながらに顔の上視野優性は存在し、発達的変化は見られないことが予測されるとする。

実験では、生後5~8か月の乳児に、上下または左右に並べて2人の女性の顔を提示し、どちらの顔を最初に見るのかが調べられた。上の顔に対してバイアスがあれば、そちらを最初に見る割合が高くなることが予測された。