独Merckならびに同社の日本法人メルクエレクトロニクスは、日本のエレクトロニクス・ビジネス部門に対し、2025年までに1億ユーロ(約135億円)を超える投資を行うことを4月26日に発表した。
大きな伸びが見込まれるエレクトロニクス市場にフォーカスした同社のグローバル成長戦略「Level Up(レベルアップ)」の一環として、主にMerckの半導体およびディスプレイ製造用素材部門基幹サイトである静岡事業所の研究開発力、製造インフラストラクチャおよび人員の強化へ投資し、成長が加速する世界のエレクトロニクス産業を支える材料イノベーションの推進を目指すとしている。
Merckは2025年末までにアジアおよび米国の拠点を中心に30億ユーロ以上の大規模な投資を行うことを予定しており、日本を重要な戦略的投資地域に位置づけている。同社は、日本をテクノロジーのグローバルハブとして、30年にわたる成長を支えてきた地域と説明しており、日本での研究開発とパイロット生産能力の増強を図ることで、エレクトロニクスの先端材料開発に向けたポジションを強固にするとともに、同社のグローバルフットプリントを活かして近接する消費地(台湾、韓国、中国など)での量産移行を図ることで、高品質な新材料のスピーディな市場供給とグローバル展開を行っていくとしている。
Merckの静岡事業所は1984年に設立されて以来、半導体・ディスプレイ製造用フォトレジストおよび電子材料関連薬品(現像液、シンナー、リンス液、剥離液、反射防止膜剤、密着助剤、絶縁膜形成剤、保護膜剤)などの多岐にわたる製品の開発を行ってきた。2021年1月には約2000万ユーロを投じ、面積6000平方メートルの新施設「セントラルオフィス」を竣工させており、半導体材料ビジネスの中核施設となるべく、機能強化が進められている。
メルクエレクトロニクスの代表取締役社長である永田勝氏は、「日本は、新規材料開発に意欲的で、世界的にトップシェアを誇る半導体製造装置メーカーや原材料メーカーが数多く存在する非常に重要な市場である。高品質な電材原料の調達や、先端プロセス研究に取り組む開発パートナーとの共同開発の環境が成熟している日本で、テクノロジーハブとして半導体およびディスプレイ業界向けのEUVリソグラフィ向け素材はじめ最先端材料の開発製造に従事する静岡事業所を強化することは、世界の半導体、ディスプレイ製造向けの次世代先端材料開発のけん引につながると確信している」と述べている。