東京工業大学は4月27日、三菱地所、Tokyo Marunouchi Innovation Platform、アズビル、イトーキ、三菱電機と、労働者のウェルネスの実現を目的とし、同大学の超スマート社会推進コンソーシアム スマートワークプレース教育研究フィールドの中で、AI(人工知能)による空調制御やIoTセンシングを使用した労働者の健康管理の実証実験を2022年7月に開始すると発表した。実証実験に必要なネットワーク環境は、同コンソーシアム参加企業である楽天モバイルの協力を得て構築する。
今回の実証実験では、在宅勤務に関する教育・研究に利用するための空間である「スマートワークホーム」を横浜市の同大学すずかけ台キャンパス内に設置し、被験者実験において睡眠効率と作業効率の計測を行い、両者が最大化する住宅の内装や設備の制御方法について検証するという。
また、東京都千代田区大手町のサードプレースである「3×3 Lab Future(さんさんラボ フューチャー)」では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の空気感染の原因といわれる空気中に長期間漂う飛沫核の様子をシミュレーションとXR(Extended Reality)技術を用いて可視化することで、健康に配慮した安心安全なワークプレースの提供を目指す。
加えて、センサーやカメラの情報をAIで解析し、従来型の室温のみの空調制御とは異なる、着衣量や温熱快適性などを基にした、より人に寄り添った空調制御を行うとのこと。さらに、住宅とサードプレースに続き、今後はオフィスのあり方を模索するためのフィールドの整備を進めていく計画だ。
同実証実験を通じてスマートワークプレース教育研究フィールドは、現在分断されている働く場(自宅、オフィス、サードプレースなど)をデジタル技術で有機的につなぎ、労働者の健康状態を一元管理することで、体調の変化を捉え、多様な働き方の健康な状態での実現を目指す。
同時に、労働者のウェルネスの実現により、一人ひとりが効率的に長きにわたりいきいきと働くことができ、労働力不足の社会課題解決にもつながることを期待しているという。