アイ・オー・データ機器は4月27日、電子帳簿保存法対応アプリケーション「命名くん」と電子帳簿保存用外付ブルーレイドライブを発表した。代表取締役社長の濵田尚則氏は、電子帳簿保存法への取り組みについて次のように語った。
「今年2月に発表したように、当社はTOB(株式公開買い付け)を実施し、6月下旬には非公開企業となる。その狙いは、量を売るビジネスから ソリューションを売るビジネスに変わることにあり、これからはアプリケーションやソフトウェアを組み合わせて売るビジネスを拡大させていく。改正電帳法により、2024年に電子データで保存することが義務となるが、デジタル化が進まない会計業務を後押しする動きと見ている。われわれは、これを機会にすべての企業にペーパーレス化を進めていきたい。電子化によって、紙の利用を減らせるし、保管スペースの削減にもつながる」
電帳法の対象となる企業は380万社に及ぶが、「今回発表した3つの製品はすべての企業を対象としていることが特徴。当社の製品らしく工夫を提供し、痒いところに手が届くソリューションとなっている」と濵田氏は述べた。
続いて、事業本部 企画開発部 副部長の中村一彦氏が新製品について説明した。今年1月、電磁的記録による保存の形式である「電子取引」について、「電子データを印刷して保存したものでも原本として認める」とされていた点が改正され、 電子取引で授受した情報の電磁的記録保存が義務化された。
義務化においては可視性(検索)が要件となっており、専用のシステムで管理しない場合、 検索項目入りファイル名に変更して管理するなどの方法で、 検索性を確保することが必要となる。この可視性について、業務担当者が感じる「煩わしいそう・めんどくさそうだ」をできるかぎり容易に解決するソリューションとして、「命名くん」が開発された。
中村氏は、「電帳法に対応するにあたっての代表的な困りごとは2つある。1つは、リネームや検索簿の作成に伴うなど、新たな事務作業が増えること。データは検索要件を満たした形で保存されなければならない。また、名称の揺れがないようにすることも必要。もう1つは、新たな保存場所を準備しなければならないこと」と話し、今回発表した新製品はこれらの課題を解決する。
「BRD-UT16D」は、誤操作によるデータ損失を防ぐ「再書込み防止」ドライブを採用し、 電子取引データの保存に特化したブルーレイディスクドライブ。帳簿書類の7年保存の確実性を高めるメディア「M-DISC」も同梱されている。M-DISC1枚に約24万枚のデータを保存できる。命名くんライセンスをセットにした「BRD-UT16D/M」も用意されている。
「命名くん」は、ファイル名を変更して、「BRD-UT16D」に書き込む。書き込みはスケジュールに基づいて行える設計になっている。ファイル名を変更する際は、選択式操作によって揺れのない形で行えるようになっている。
今後は、「命名くん」とタイムスタンプアプライアンスと連動して動作するNAS用のパッケージも提供を予定している。これにより、国税関係書類をマルウェアから隔離保存し、「命名くん」の2重処理を防止するという。