IDC Japanは4月27日、国内エッジインフラ(ハードウェア)市場予測を発表した。これによると、同市場の2021年における支出額は2020年と比べて19.3%増の4056億円と推計しており、2021年から2025年にかけて年間平均成長率(CAGR) 9.9%で成長を続け、2025年の同支出額は5911億円になるという。
同社は、企業や組織におけるデータ分析処理の比重が、今後、コアインフラからエッジインフラにシフトし、AI(人工知能)技術を利用した高度なデータ分析処理に対するニーズが高まると見ている。
それと共に、データ分析処理に使用するデータは動画や静止画などの非構造化データが増加し、データの種類も豊富になってくることから、今後エッジコンピューティングのニーズは拡大し、エッジインフラ市場は高成長すると予測する。
同社は同市場を、サーバ、ストレージ、ゲートウェイ、ネットワーク機器に分類し市場予測している。
2021年の同市場を分野別に見ると、支出額が最も大きいのはゲートウェイ市場であり、その支出額は2020年と比べて19.3%増の2515億円であり、2021年から2025年におけるCAGRは10.6%、2025年の同支出額は3763億円に拡大するという。
同分野はこの期間を通じてエッジインフラ市場全体の6割強を占め、CAGRもサーバ市場に次いで高い成長が期待できるとのこと。最も高い成長が期待できるというサーバ市場のCAGRは15.2%、2025年の支出額は959億円になると同社は予測する。
また同社は同市場をAI、AR/VR(拡張現実/仮想現実)、ドローン、IoT、ロボティクス、サービス・プロバイダの各領域に分類した市場予測も行っている。
2021年の国内エッジインフラ市場における領域別の支出額が最も大きいのはIoTであり、2020年と比べて20.5%増の1800億円と同社は推計し、2021年~2025年のCAGRは12.3%、2025年の支出額は2862億円になるという。
同領域はこの期間を通じて市場全体の4割強から5割弱を占め、CAGRはサービス・プロバイダに次いで高い成長が期待できるとのこと。なお、最も高い成長が期待できるというサービス・プロバイダ領域のCAGRは22.0%、2025年の支出額は885億円になると同社は予測する。
同社エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの下河邊雅行氏は、「国内エッジインフラ市場は、今後、成長が期待できる市場である。ITベンダーは、エッジ領域でのコンピュータ処理に関するシステム要件や、さらには業務要件まで踏み込んで、顧客の潜在的なエッジ・コンピューティング・ニーズを引き出すことが重要である」と説明している。