NTTコミュニケーションズ(NTT Com)とNTTデータは4月27日、日本電信電話(NTT)が提供する技術および、欧州「Gaia-X」に関する取り組みで獲得した知見をもとに、ドイツの自動車メーカーなどが運営するデータ流通プラットフォーム「Catena-X」と相互接続が可能な、新たなデータ流通プラットフォームの開発に取り組むことを発表した。NTTは、ハードウェア暗号化技術を活用しデータとそれを分析するプログラムを秘匿したまま計算できるセキュリティ技術などを提供する。

  • データ主権を保護できるデータ流通プラットフォームの全体像

    データ主権を保護できるデータ流通プラットフォームの全体像

欧州のデータ流通構想をまとめた「Gaia-X」は企業や組織間における安全なデータ流通を実現するために注目され、ドイツの自動車メーカーやIT企業は「Gaia-X」で提唱される主要な技術の1つである「IDS」を用いて「Catena-X」をドイツ国内に構築している。自動車業界の企業1,000社が相互かつ安全にデータを流通できるプラットフォームであり、今夏にサービス提供を開始する予定だという。

今後、ドイツの自動車関連企業と取引する日本企業も「Catena-X」を利用したデータ流通を求められることが想定されるが、欧州のポリシーでデータが管理されることになり日本のポリシーでデータを保護することが困難となる。そのため、欧州のデータスペースと相互接続でき、日本のポリシーで安全にデータを管理できる仕組みを実現することが課題となっている。

この仕組みの実現に向け、企業間の安全なデータ流通を必要とする業界団体や企業とともに、知見獲得を目的としたDAPS間接続試験、空力特性に関するデータ流通試験を行ったほか、グリーン分散エネルギー情報流通基盤の構築やセキュリティ技術の開発を行った。

今後は、自動車、航空、エネルギーなどのさまざまな業界の企業や団体に参加を呼びかけ、オープンな共創活動として日本のデータスペースの実現を目指すという。また、オランダ応用科学研究機構、ドイツFraunhofer研究機構、IDSAなど海外の組織とも連携し、「Catena-X」など欧州のデータスペースと日本のデータスペースが安全に相互接続できるデータ流通プラットフォームの開発も継続し、さまざまな業界の企業とグローバルな実証・実装を進めるとしている。

NTTグループは、データ主権を保護するために必要な技術に留まらず、将来的には「IOWN」の「APN」技術を導入することで、圧倒的な低消費電力、高品質・大容量、低遅延なデータ流通の実現に取り組んでいく構えだ。