東芝ならびに東芝デジタルソリューションズ、英BT Groupは、2022年4月26日より英ロンドンにて量子暗号通信の商用向けメトロネットワークのトライアルサービスの提供を開始したことを発表した。

同トライアルサービスの最初の顧客企業はErnst & Young Global(EY)で、ロンドン東部のカナリー・ワーフ地区とロンドン・ブリッジ周辺地区間の拠点間接続での利用を予定しているとのことで、このトライアルサービスを通じて、量子鍵配送(Quantum Key Distribution:QKD)がどのように安全にデータを拠点間で転送できるかを示し、量子暗号通信ネットワークが顧客企業にもたらす効果を明らかにしていく予定だと東芝では説明している。

今回のトライアルサービスを開始する商用向けメトロネットワークはBTの子会社であるBritish Telecommunicationsが運用し、BTの子会社であるOpenreachが提供するプライベートファイバーネットワークと、東芝デジタルソリューションズが提供するQKDシステムおよび鍵管理システムによる、専用の高帯域エンドツーエンド暗号化リンクを含むさまざまな量子暗号通信サービスを提供するとしているほか、このトライアルサービスの開始は、英国政府が戦略として掲げる量子対応経済の実現に貢献する重要な一歩になるという。

英国政府は2020年に、量子対応経済の発展に向けた“strategic intent”を発行。その中で、量子技術が、英国のデジタルバックボーンの不可欠な一部となり、成長を促進し、繫栄とレジリエントな経済の構築に役立つイノベーションを解き放ち、英国の繁栄と安全保障に大きな価値をもたらす、今後10年間のビジョンが示された。今回のロンドンの商用向けメトロネットワークは、量子技術を用いた安全な通信を目指す国のネットワークを築くための重要な一歩であり、英国の量子対応経済の成長を活気づけるものとなると東芝では説明している。

なお、今回の商用向けメトロネットワークでの実証環境の構築に向けた協働は、英国サフォークのBTのアダストラルパークR&Dにて行われたとするほか、東芝は量子技術のビジネス拠点を日本および英ケンブリッジに有しており、そこで量子暗号技術の開発や製造を行っているという。