ソニーグループとエムスリーは4月26日、テクノロジーと医療の知見を融合したソリューション事業を行う新会社「株式会社サプリム」を共同で設立したことを発表した。
社会背景として、患者目線の医療。高齢化が進む中、病院中心の医療から地域連携・在宅を中心とした医療へと社会的なニーズがシフトしており、かつデジタル技術による治療の薬事承認なども日本でも進みつつあり、そうした時代に対応するデジタルヘルスケアカンパニーとなるべく、今回、サプリムの設立に至ったという。
サプラム(SapplyM)という社名の由来は、社会(Social)課題の解決(Solution)技術を医療(Medical)分野に応用(apply)するという構想から、S+apply+MとしてSapplyMと命名したという。
その目指すべきところとしては、デジタル技術で病気の治療を行うデジタルセラピューティクス(DTx)の活用を、エムスリーが有する医療分野の知見やネットワークに、ソニーの最新テクノロジーとエンタテインメントのノウハウを融合させることで図っていくとする。
サプラムの資本金は5億円で、出資比率はエムスリーが51%、ソニーグループ49%。オフィスはエムスリー内に設けられるという。
また、事業内容としては、「身体機能解析改善事業」、「医療センシング事業」、「フレイル予防事業」などを想定しており、第1弾サービスとして、ひとりでできる在宅リハビリ支援サービス「リハカツ」を提供するという。
リハカツは、脳卒中の後遺症者など、継続的なリハビリを必要とする人向けアプリで、ソニーが開発を続けている「姿勢推定技術」と正しく運動が出来ているかを判定する動作解析技術を用い、「脳梗塞リハビリセンター」を展開する脳梗塞リハビリのエキスパートであるソニーグループの1社であるワイズの協力の下、身体の動きの評価や評価結果に合わせたトレーニングの提案を行うスマートフォン(スマホ)向けアプリ。トレーニングが正しく実施できているかをAIが判定するため、いつでも、どこでも、何度でも、好きなだけ、自分のペースで身体に合ったトレーニングを正しく実施することができるほか、理学療法士によるリモートレッスンの定期開催による、質問の機会を提供することで、ひとりでは続けづらい運動を支援するものだという。当面の間は無料で提供するとしているほか、高齢者介護施設などでの利用に向けた実証実験も今後進めていく予定としている。
このほか、医療センシング事業としては、在宅での心臓リハビリサービスを第1弾として提供することを予定しているほか、将来的には糖尿病管理や疼痛管理なども提供していく予定としている。また、睡眠時無呼吸症候群をターゲットとして、開発中の時計型ウェアラブルデバイスを活用し、睡眠分析などをワンストップで実施するサービスなども検討しているとする。
フレイル予防事業としては、歩行に着目したサービスから提供する予定で、独自開発の歩行アルゴリズムを活用したオンラインサービスを提供していくとしている。
なお同社では、患者の目線に立ち、前向きで楽しく治療に取り組めるよう、想像力豊かな発想でクリエイティブに課題を解いていくことを目指すとしており、将来的には保険償還されるようなアプリの提供も果たすことで、医療現場での活用など、事業領域の拡大を図っていきたいとしている。