リモートワークをしたいがオンラインコラボレーションはまだ不完全ーーリモートとオフィスのハイブリッドワークがこれからの働き方と言われる中で、まだまだ改善の余地がありそうだ。英国の人事ニュースサイトHRNewsが「90% of workers support hybrid work, but over half still think online collaboration is broken」として、ビジネスユーザーのオンラインコラボレーションツールへの意見を紹介している。

コロナの感染拡大による初回の緊急事態宣言から2年、コロナ対策をしながらの生活は"慣れ"を通り越して"当たり前"になった感がある。当時言われていたニューノーマル(新しい当たり前)に入りつつあるようだ。

ニューノーマルでの働き方は完全リモートから、リモートとオフィス勤務を組み合わせたハイブリッドになるという予想が一般的だ。背景にあるのは、リモートの良さとオフィスの良さの両方を取り込もうという狙い。従業員にしてみれば、自宅で仕事ができるのであれば自宅を選ぶという人もいるし、出社したい人もいる。従業員に柔軟な働き方を提供することは企業にもメリットがある。

記事では、コラボレーションツールを提供する米Lucid Softwareの調査をいくつか紹介している。「バーチャルミーティングは今後当たり前になる」と考える人が90%、87%が「コロナ禍の後、デジタルのコラボレーションツールを使うことに違和感を感じなくなった」と回答した。80%がチームでのコラボレーションにデジタルツールが不可欠であると述べている。

コラボレーションツールへのメリットとして、67%が「通常であれば意見を言わない人が意見を共有するようになった」と回答、「チャット機能により参加の障壁が下がる」と考える人も78%いた。一方で、この2年間かけて広がってきたコラボレーションツールはまだまだ改善の余地があるという意見も出た。

現在のコラボレーションツールに何らかの問題を感じており、もっとユーザーフレンドリーになってほしいという人は65%いた。47%が、オンラインミーティングで、重要なポイントやアクション項目をまとめるための方法が改善されることを望むとしている。

そして、10人中7人(72%)がオンラインミーティング中にマルチタスク状態で別のことをやっていると認めている。約半数が好みのコラボレーションスタイルがあると回答しており、絵文字などを使った表現を好む人、参加者同士の関係やエンゲージを強化したいと思っている人などに分類できるとしている。

「オンラインミーティングは、派手に主張する人が中心になっている」と感じる人は56%、全員の声を拾えていないという人も53%いた。ミーティングの時間、参加者の数、進行をどうするかなどは、まだまだ試行錯誤する余地がありそうだ。テクノロジーに期待することとしては、ミーティングのファシリテーション機能の充実、他のアプリとの統合強化が上がっている。

これらのニーズを裏付けるようにソフトウェアを開発する企業もコミュニケーションやコラボレーションの機能に工夫を凝らすアップデートを頻繁に行っている。Googleは、ビデオ会議中にアイコンでリアクションを伝える機能などハイブリッドワークに適したコラボレーション機能の数多くを追加することを、今月初めの公式ブログで発表している。

また、Adobeが最近行ったプロ御用達の映像ツールAdobe After EffectsとAdobe Premiere Proの最新版では、プロジェクト関係者が映像をシームレスに繋げてコラボレーションできる機能を搭載。Adobeが昨年買収を発表した「Frame.io」を組み込んだ新ツールは、承認フローや映像のタイムライン上でコメントのやり取りが可能になる強力なもので、クライアントやプロデューサー、チーム内などでの映像制作フローの継ぎ目がなくなる。場所にとらわれずに迅速な映像のやりとりが可能になる。

コミュニケーションツールも、ちょっとした手元の小さなカスタマイズは簡単だ。筆者の環境でも複数のコミュニケーションツールが起動しているが、Slackで「開始」「終了」の合図を送信しなければならない状況が浮上した。仕事にせよゲームにせよ、フォーカスを変えてテキストを入力する際にIMEがマッチせず、意図せずに全角/半角がずれる場合がある。これはこれで、小さなジャブのようなストレスがたまる。また、激しい打鍵音を周囲に響かせずともクリックひとつで、可愛いアイコンや絵文字で情報を伝えられた方が良いだろう。Slackの場合、絵文字の欄からの「絵文字を追加する」を選んで画像ファイルをアップするだけだ。

  • Slackの絵文字を追加画面

    Slackの絵文字を追加画面

画像ソフトで「開始」「終了」の文字を入力してJPG保存。検索するときに探しやすいように名前をつける。

  • 画像ソフトで文字だけの絵文字をJPGで作る
  • 画像ソフトで文字だけの絵文字をJPGで作る
  • 画像ソフトで文字だけの絵文字をJPGで作る

ここではそのままで:開始:、:終了:と付けてアップロードする。「終了」で検索するとアップロードした画像が表示される。最初は検索して使うが、頻度が上がればよく使う画像として上位に出てくるので、文字を入力せずとも簡単に扱えるようになる。

  • 無事アップロード完了。検索するとアップロードした画像が出てくる
  • 無事アップロード完了。検索するとアップロードした画像が出てくる
  • 無事アップロード完了。検索するとアップロードした画像が出てくる

小さなカスタマイズであっても、少なくとも何らかしらのプラスの効果があるのであれば、達成感があるものだ。とあまり可愛くはないアイコンを見て、つくづく思うのであった。