日本電信電話(NTT)と三菱重工業は4月25日、熟練者に頼っていたプロジェクト人員計画を自動化する共同実証実験を実施したことを発表した。実験により、人員計画の作成に要する工数を削減できる可能性を確認したという。
同実証では、NTTが研究開発に取り組んでいる、新しい原理に基づいた計算システム「光イジングマシンLASOLV」を活用した。同システムは、相互に結合した多数の光パラメトリック発振器(OPO)パルスが、全体として最も安定となる位相の組合せで発振することを利用して、組み合わせ最適化問題の解を導出する。
同実証実験では、三菱重工で実業務の工事日程、要求スキル・人数、派遣候補となる作業員の情報、現地サイト間の移動時間等に関するデータを準備し、これらのデータに対し、NTTで制約条件を満足する人員計画を探索する5万ビット規模のイジングモデルを構築した。
光イジングマシンLASOLVにより、点検対象プラント数26カ所、工事数29件、作業員141人、日数64日間の期間で、保有スキルや連続勤務日数、勤務時間上限、プラント間移動日数、休暇予定といった主要な制約条件を満たす人員計画の解候補を導出した。
その結果、従来は人手で1カ月程度かけて作成していた人員計画を短い時間で得られることを確認したという。両社はLASOLVの活用により人員計画作成に要する工数を削減できる可能性を示し、同成果は人員以外のリソース計画立案にも適用可能と見込んでいる。
NTTと三菱重工は実用化を目指してシステム化など実業務への適用検証を進めるとともに、カーボンニュートラルやエナジートランジションに向けた重要な事業課題の解決に関する取り組みを進めていく方針だ。