英国に本拠を置く多国籍情報プロバイダであるInformaのハイテク市場動向調査事業(ブランド名:Omdia)の半導体コンサルティングディレクターである杉山和弘氏が4月上旬、SEMIジャパンのWebinarにて「半導体産業トレンド予測」と題して講演を行った。
同氏の講演内容を自動車および車載半導体業界の話題を中心に要約すると以下の通りとなる。
- 世界の車両生産台数は、2021年に前年比2.5%増、2022年も同10%増と成長が見込まれ、2025年に向けて年平均成長率(CAGR)2.1%で成長する見込みである。今後、EVシフトが加速し、2025年には、市場規模が4倍に成長するだろう。
- 地域・国ごとの車両生産台数は中国がCAGR3.6%、(日本と中国を除く)アジアが同2.7%でともに自動車台数の成長をけん引していく見込みである。一方、日本はCAGRマイナス0.5%で減少する見込みである。
- 車載ECUは、自動運転やEVが市場をけん引し、2021年以降成長を続け、2025に向けてCAGR3.2%で成長する見込みである。
- 車載半導体市場は、2021年以降成長が続き、2025年に向けてCAGR15.8%で成長していくと見込まれる。車載半導体は、すべてのカテゴリで2桁成長する。一番売上高の大きなカテゴリはアナログだが、一番成長率が高いカテゴリは、メモリとロジックデバイスであり、ともにCAGR22%の見込みである。
- 2021年初頭の自動車部品需要は、Omdiaの予想を超え、ファウンドリの車載半導体生産キャパを超えてしまった。ほとんどのファウンドリが稼働率を最大に押し上げ、車載用半導体を優先的に割り当てたため、300mmで製造されている自動車部品の生産能力不足現象は2022年第3四半期以降に緩和される方向にあるが、200mmファブの生産キャパは、依然として厳しい状況にある。特に、高耐圧系のパワー半導体は、2022年も厳しい状況が続くと見ている。今後も、一部のデバイスでは、断続的な不足感は避けられないだろう。
なお杉山氏は、ファウンドリビジネスについて、「2021年は、ファウンドリが市場需要に対応して、生産能力を拡張するための高い投資支出を行った年であるが、拡張された生産能力のほとんどは2022年後半以降からしか利用できない。生産能力拡張は主に300mmウェハラインに焦点を当てている。2022年後半以降は300mmウェハを用いて製造された製品は不足が緩和するとみられる。2023年以降は28nm・40nmといったレガシーラインは生産過剰になる可能性がある」と述べたほか、「2021年第4四半期の時点で、半導体業界全体で在庫収益が2021年第2四半期より高いため、在庫の備蓄は続いている。注目すべきもう1つの兆候は、在庫の備蓄が減速を始めると、市場の需要が軟化し始める点である」と注意喚起した。