京都府立医科大学(京府医)は4月20日、新型コロナワクチン(ファイザー製)接種後の副反応調査を実施し、ワクチン接種後には早期に出現するさまざまな副反応の出現が認められたが、いずれも一過性でほぼ1週間以内に消退するものであり、予防接種を推奨していく上での重要な懸念事項にはならないことが確認できたと発表した。
同成果は、京府医大大学院 医学研究科 皮膚科学の丸山彩乃助教、同・医学研究科 麻酔科学の佐和貞治教授(同大学附属病院 医療安全推進部 部長兼任)、同・医学研究科 生物統計学の手良向聡教授、同・医学研究科 皮膚科学の加藤則人教授らの研究チームによるもの。詳細は、日本化学療法学会および日本感染症協会が刊行する抗がん剤治療を含む感染症に関する全般を扱う公式の欧文学術誌「Journal of Infection and Chemotherapy」に掲載された。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の3回目のワクチン接種率は2022年4月中旬時点で若年層で低く、年代別の新規感染者数も若年層が多くなっている。感染拡大の抑制や重症化の回避のためには、そうした若年層へのワクチン接種を勧めていく必要性があるといわれるが、さまざまな有害事象(AE)の報告が若年層のワクチン接種を躊躇させる要因の1つになっているとされる。
そこで研究チームは今回、ファイザー製ワクチンの接種後に発生した有害事象の種類、重症度、頻度、経過を明らかにすることを目的として、ワクチン接種を受けた京府医の職員や学生(18歳~74歳)を対象に、自己申告による副反応についての前向き調査を実施することにしたという。
初回、2回目の接種ごとに接種者の局所および全身反応について、接種日から接種後7日間、毎日自主的にモバイル端末を通じてアクセス可能なwebサイトを通じて質問に回答する形式での調査を実施。初回接種者4503名のうち584名(12.9%)、2回目接種者4473名のうち440名(9.8%)から回答を得られたという。
今回は、初回接種と2回目接種後の両方で回答した374名のペアデータに注目し、副反応の項目ごと(発熱、全身倦怠、悪寒、頭痛、筋肉痛、関節痛、皮膚の痛み、紅斑、痒み、下痢)に性別、年齢別の発生率、強度(10段階の数値スコア)との関連に対し、統計学的が検討が試みられたところ、全体として副反応の発生率、強度ともに初回接種後に比べて2回目接種後が高い傾向があったほか、筋肉痛、皮膚の痛みは両接種後の発生率と強度はほぼ同等だったことが判明したとする。