サンリオと東日本電信電話(NTT東日本)は4月21日、NTT東日本が提供するコミュニケーションロボット向けの音声認識・音声合成機能を提供する「ロボコネクト」に対応したサンリオのキャラクター「ハローキティ」のコミュニケーションロボットを製作し、法人向けコミュニケーションロボットソリューションとして販売を開始することを発表した。
「本格的なコミュニケーションロボットを作りたかった」
製品名は「ハローキティロボット」。ハローキティの声で発話し、人と同じように身振り手振りを使って双方向のコミュニケーションを行うことができる約33センチメートルの小型のデスクトップ型ロボットだ。重さは1,190グラムで、マイクやカメラ、LED、スピーカー、人感センサーが内蔵されている。
サンリオ 執行役員 ライセンス営業本部統括部長の門本洋一郎氏は「これからのコミュニケーションツールに求められるのは高いエンターテイメント性。本格的なコミュニケーションロボットが作りたかった。サンリオのキャラクターのなかでも、子供からお年寄りまで、海外の方からも愛されているハローキティを起用した」と、同ロボットの開発背景を語った。
6種類の付加アプリケーション
利用シーンとしては、オフィスの受付や、観光施設や駅での案内、プログラミング教育や介護施設での活用などを想定。ロボコネクトに対応する付加アプリケーションを活用することで、幅広いシーンでの活用が可能だ。
例えばマイクロソフト社の「Microsoft PowerPoint」と連携することで、ハローキティロボットがプレゼンテーション内容を発話する。スライドのノート欄に書き込むことでセリフや動きを自由に設定できる。最大5台で掛け合いも可能。同日開催された製品発表会では、ハローキティロボットが自身の説明をプレゼンテーション形式で行っていた。
またタブレットとハローキティロボットを連動させて、「声」「文字」「画像」で施設案内や観光案内をはじめとするさまざまな案内が可能だ。音声認識技術を搭載しているため、タッチ操作のほか会話で知りたい内容を表示できる。
また、サーマルカメラと連携することによるオフィスや店舗などの施設での無人検温や、オフィスの受付などにも活用できる。検温の呼びかけや測定結果の案内を代行し、チャットツールなどを通じて担当者への通知もできる。
さらに、ハローキティロボットがコンテンツ映像にあわせて、クイズや体操などのレクリエーションの司会・進行を実施するような機能もある。コンテンツは「会話」「体操」「脳トレ」「ゲーム」「歌」「紙芝居」など約200ものコンテンツがあり、今後も順次追加していく予定だ。介護施設におけるQOL(Quality of Life)の向上や子ども向けの知育・STEAM教育などに使える。
ハローキティロボットを使ったプログラミング学習も可能だ。3種類の学習ツール「フローチャート」「ブロックプログラミング」「プレゼンテーション」で小学校低学年から中学生まで幅広く利用できる。
忠実に再現された「声」
同ロボットの大きな特徴の一つは「声」だ。NTTグループのAI音声合成技術により、ハローキティの声が忠実に再現されている。単調な話し方だけでなく、場面や文言に応じた感情表現ができ、可能少量の音声データから、再現性の高い音声合成を作成しているという。
NTT東日本 ビジネス開発本部 第三部門部門長の増澤俊也氏は「従来技術だと、声を忠実に再現するためには数日にわたっての収録が必要だった。しかし当社のAI音声合成技術により、2時間程度の収録で今回のレベルを達成した」と、誇らしげに説明した。
また、発話内容や対話シナリオを自由にカスタマイズできる点も特徴の一つだ。収録された音声では決められたセリフのみしか話すことができないのに対し、音声合成技術を活用することで発話内容に柔軟性が出せる。
さらに、案内サービスにおける会話の蓄積データを分析し、ニーズに合ったコンテンツを追加することで「より利便性の案内役に進化させることができる」(増澤氏)という。
ハローキティロボットの提供価格は、リース契約で契約期間5年の場合、月額7万5,900円から。4月22日から予約受付を開始し、2022年8月18日から販売を開始する予定。両社は初年度で100台の販売を目指す。最初は法人向けにサービスを開始するが、個人向けのプランの提供も視野に入れてサービス展開していく考えだ。