キヤノンは4月21日、MR(複合現実)システム「MREAL(エムリアル)」シリーズの新製品として広視野角モデルのヘッドマウントディスプレイ(HMD)「MREAL X1」を発表した。6月上旬の発売を予定している。最小構成価格は350万円(HMD、PC、基本ソフト、表示アプリケーション)~、2025年までにMREALシリーズ全体で年間1000台以上の販売を計画している。
MREALは、ビデオシースルー方式(HMDに内蔵されたカメラのCMOSセンサが捉えた現実映像と仮想空間の3D CGをコンピューターでリアルタイムに合成し、ヘッドマウントディスプレイに表示する方式)により、現実世界とCG映像を違和感なく融合し、あたかも目の前の現実に3D CGが存在しているかのような臨場感を提供するMRシステム。すでにシリーズ累計で大手製造業を中心に100社を超える導入実績がある。
以下は、X1の紹介動画だ。
https://youtu.be/nweBR5WqfXc
新製品は、同社独自のディスプレイパネルと光学技術を用いることで、昨年発売したエントリーモデルの「MREAL S1」と比較して、質量の増加を約21gに抑えながら、表示面積を約2.5倍に拡大。特にユーザーからの要望で多かった縦方向の視野角を拡大したことで、大きく頭を動かすことなく視認エリア全体を確認できる。
一度に視認できる範囲が拡大したことで、大型の商品や設備などの全体的なイメージの確認や、対面での作業検証や、自分の立ち位置を確認しながらの作業検証などにも使用を可能としている。
また、質量が約359g、大きさは約186(幅)×150(奥行)×250(高さ)mmの小型・軽量設計とし、使用時の負担を軽減することで、長時間の作業にも対応。ユーザーの要望や人間工学に基づいた知見を集約して設計されたヘッドマウントユニットにより、組み立ての検証や大型製品のデザインの確認など、頭を傾けるような体制でも安定して使用できる。
ディスプレイ部の高さ調整機構や眼幅調整機構により、個人の頭部形状に応じた位置調整が容易に可能なことに加え、フリップ方式でヘッドマウントディスプレイを装着した状態から素早く目視に切り替えができ、本体を装着したまま周囲の確認をすることやメモを取ることも可能としている。
さらに、モバイルワークステーションへの対応により、システム全体の小型・軽量を測り、さまざまな場所に持ち運んでの利用を可能とし、屋外の建設予定地で建物完成後の姿を関係者間で共有することや、営業先でのプレゼンテーションへの利用など、新たな営業スタイルの提案できるという。
また、製造業や建設業だけでなく、医療やエンターテイメントなどの業界において活用を可能としており、遠隔地間を接続し3D CGを共有することができるため、人の移動に制限がある状況下での業務支援も可能。
物理的に離れていても、同じ空間にいるようなコミュニケーションがとれるため、言語化が難しい情報の共有や移動時間、移動コストを削減するとしている。空間特徴位置合わせ技術により、別売りの位置合わせ用光学センサ「光学式センサアタッチメント OS-3」が常設されていない現場や設置が困難な屋外でも高精度な位置合わせを可能としている。
そのほか、別売りのアクセサリーは、頭部に装着することなく手持ちタイプで手軽に体験できる「ハンドヘルドユニット HH-4」は、ハンドルの開き具合や長さを人間工学に基づいて設計することで、長時間利用しても疲れにくい形状をとなっている。同梱されているアイカップを装着することで、外光を遮断し、没入感の高い映像の視聴できるほか、アイカップの開度調整で眼鏡をかけていても簡単に装着できる。
「インターフェイスボックスキット BX-40」を経由し、Thunderbolt3対応のモバイルワークステーションとの接続も可能なことに加え、「インターフェイスボードキット IB-40」でThunderbolt3未対応のデスクトップPC とも接続可能。
加えて、を本体に取り付けることで光学式センサを利用することを可能なほか、スロット式減光フィルターの搭載でスロットを差し替えることで、建築現場や屋外イベントなどの日差しの強い環境下でも、空間特徴位置合わせができるという。
ターゲットは従来からの製造業に加え、ショウルームやプレゼン、医療トレーニング、ボリュメトリックスと組み合わせたライブイベントなど新たな分野を想定している。