矢野経済研究所は4月21日、国内外のM2M(Machine to Machine:機器間通信)市場を調査し、市場規模、セグメント別の動向、参入企業動向、注目技術動向、将来展望を明らかにした。 2020年度の国内M2M市場は前年度比1.4%増の2,130億円であったという。
このレポートは、2021年11月~2022年3月、通信キャリア / MVNO、ITベンダー、SIer(システムインテグレーター)、プラットフォームベンダーなどを対象に、人が介在せずに、主に携帯電話 / PHS通信規格に準じた通信モジュールを内蔵した機器・デバイス間で情報のやり取りをするM2Mについて、ネットワークを用いたシステム構築やプラットフォームの利用などの動向を調査したもの。
2020年度の国内M2M市場規模(事業者売上高ベース)は2,130億円で、前年度比1.4%増と微増。コロナ禍の逆風で人手不足や遠隔/リモート志向の高まりといった追い風はあったものの、厳しいビジネス環境であったという。
2021年度においても、依然としてコロナ禍における新規受注の低迷やLTE対応通信モジュール需要の一巡もあり、前年対比2.8%増に止まる2,190億円を見込んでいる。
製造/工場では、既にIoT型遠隔監視が普及しているエネルギー設備などのファシリティに加え、大型・高額な生産機器・設備での普及も始まり、工場の新設時、既存設備の更新時には、IoT機能を組み込んだ機器・設備を導入する動きも顕在化している。さらにここ数年は、製造業でのビジネスモデルの変革が起こりつつあり、そこにIoT型遠隔監視システムを組み込む流れもあるという。
時間軸でみると、2025年頃までは売上規模3,000億円以上の大手メーカーが主導し、2025年以降は売上規模500~3,000億円の中堅・準大手メーカーへの浸透が見込まれるという。2030年以降にはほぼ全ての製造機器・設備のIoT化が実現し、中堅・中小メーカーを含めたほぼ全ての製造業で、IoT型遠隔監視システムの活用が可能になると、矢野経済研究所はみている。
2022年度以降では、withコロナが定着してM2M志向が戻ることや、5G対応モジュールの登場による新たな需要喚起も期待できるという。さらに大手通信キャリアが法人向けIoT/M2M志向を強めていることや、総務省のMVNO参入促進による競争環境と新サービス創出を狙っていることも奏功要因だという。そのため、2025年度に向けてのM2Mマーケットは、伸長率的にはやや鈍化するものの、基本的には拡大基調が継続すると矢野経済研究所はみている。