楽天モバイルとドイツのミュンヘン工科大学は4月20日、ネットワーク検証へのデジタルツイン活用に関する共同研究を実施すると発表した。両者は、IoT(モノのインターネット)などを活用して物理空間の情報をほぼリアルタイムでデジタル空間に送ることで、物理空間の対となる環境をデジタル空間に再現する技術であるデジタルツインを活用した、完全自律ネットワークの技術検証方法について研究を進める。
楽天モバイルは環境に合わせて進化する完全自律ネットワークの研究を進めている。同社が提供している現在のネットワークでは、多様な通信へのニーズに対応するために必要なロジックをエンジニアが生成・検証・適用している。
一方、完全自律ネットワークでは、人工知能(AI)をネットワーク自体に組み込むことで、ネットワークで使用されるロジックの生成・検証・適用をネットワーク自体が単独で実行し、自律的な進化を実現するという。この完全自律ネットワークの構築には、膨大なデータと高度な適応型試験環境や、従来とは異なるネットワークの検証技術が必要だ。
両者は今後、自律ネットワークを含む未来のネットワークの設計要件へ十分に対応可能なネットワーク試験環境の構築にデジタルツインを活用する方法を研究する。デジタルツインを活用して、物理空間に存在する実際のネットワークの特徴をデジタル空間で再現することで、シミュレーションや試験環境でのネットワーク検証の高度化を目指す。
楽天モバイルは今後2年間にわたり、ミュンヘン工科大学の博士研究員と博士課程学生に対して研究助成を行い、デジタルツインおよびモバイルネットワークへの適用検証を共同で研究していく方針だ。
楽天モバイルのAI・自律ネットワークのグローバル ヘッドであるミロ・サレム氏は「ネットワークにおける意思決定技術は、ここ数年で大きく進歩している。今後、効率的かつ信頼性の高いネットワークの検証を実現するためには、デジタルツインが基本的な要件となる」と述べている。