矢野経済研究所は4月20日、国内キャッシュレス決済市場の調査結果を発表し、市場概況やサービス提供事業者の事業戦略、2025年度までの将来予測を明らかにした。
2020年度の国内キャッシュレス決済市場(現金以外の支払い手段での決済総額)は、市場の大半を占めるクレジットカードの決済額は横ばいに推移したものの、コード決済やハウス型プリペイド、後払い型電子マネーなどが市場を牽引したことにより約98兆円に達し、2021年度は約104兆円まで拡大すると同社は見込む。
コロナ禍において物販系やデジタルコンテンツなどのECの売上高は拡大している一方で、リアル店舗では来店客数の回復が求められている。加盟店への支援策としてキャッシュレス決済サービス事業者がモバイルアプリの提供に力を注いでいる。
例えば、コード決済事業者は、モバイルアプリを利用して、利用範囲を限定した特典クーポンや加盟店からのアプリ利用者へのメッセージの配信など、加盟店への送客を図るOMO(オンラインとオフラインの融合)につなげている。
また、モバイルアプリはキャッシュレス決済に加え、ショッピングや飲食注文、タクシー配車、ゲームなどさまざまな機能を持つミニアプリを搭載したスーパーアプリ化を進めており、アプリ利用者が使用機会を増やすことで、コード決済金額のさらなる拡大につながるものと同社は考えている。
今後、コロナ禍で抑制された消費活動の活発化や国が推進するキャッシュレス比率の上昇などを背景として、クレジットカードの利用が増加するとともに、コード決済をはじめとするさまざまなプリペイド決済もさらなる拡大を遂げると同社はみる。2025年度のキャッシュレス決済市場は約153兆円まで拡大すると同社は予測した。