クラウド型経費精算システム「楽楽精算」を開発・提供するラクスは4月20日、全国の経理担当者約1,000人を対象に2023年10月開始のインボイス制度に関する意識調査を実施し、その結果をまとめ発表した。調査対象の約8割が従業員人数が500人未満の企業に属しており、主に中小企業を対象に実施した調査となる。
2023年10月1日の開始まで残り約1年半となったインボイス制度。同制度は正式には「適格請求書等保存方式」というもので、消費税の複数税率に対応した、新しい仕入税額控除の方式のことを指す。税率ごとの消費税額を記載する必要があり、明記されたものでなければ、買手側は仕入税額控除ができなくなる。
インボイス制度開始に伴う準備や増える業務が明らかになる中、インボイス制度について「名称は知っているが、どのような内容か知らない」が19.4%、「名称も内容も知らない」が17.7%となった。
また「名称は知っているが、どのような内容か知らない」「名称も内容も知らない」という回答は、従業員規模100~1,999名の企業では32.7%に対して、従業員規模30~99名の企業では44.6%となり、11.9ポイントの差が発生。従業員規模によって理解度に差があることが明らかになった。
さらに、インボイス制度の開始に伴い、請求書受取側としての請求書処理の業務量はどのように変わると思うかという設問に対して、「大幅に業務量が増えると思う」が18.9%、「少し業務量が増えると思う」が41.9%という結果になり、計60.8%の企業が「業務量が増えると思う」と回答。
具体的に業務量が増えると思う作業内容は、「受領した適格請求書の記載内容の十分性の確認」が74.5%と一番多かった。「取引先が適格請求書発行事業者か免税事業者かの確認」も60.9%と、今までの経理業務では発生していなかった作業が発生することが浮き彫りになった。
インボイス制度開始後の仕入税額控除に関する計算方法については、「請求書等積上方式」を採用する企業が36.6%、「帳簿積上方式」を採用する企業が18.2%、「総額割戻方式」を採用する企業が8.0%という結果に。一方で、35.5%の企業が「分からない」と回答しており、準備が進んでいる企業と進んでいない企業の差が広がっている。
「インボイス制度について対応や準備などで最も大変だと思われることは何か」という質問に対しては、29%の企業が「現在の仕入先との取引関係見直し(仕入先が免税事業者の場合の取引関係見直しなど)」と回答。多くの企業がインボイス制度開始に伴い、仕入先が適格請求書発行事業者であるかどうかにより取引関係の見直しを行う意向があることが分かった。
インボイス制度開始直後の2023年12月には、電子帳簿保存法の「電子取引における電子データ保存の義務化」の2年間の猶予が終了するため、企業が対応に追われることが予測される。企業側では、2023年10月のインボイス制度開始までに準備すべきことを明確にし、対応可能な社内体制を構築することが求められると同社は指摘している。